#科研費のコツ48 研究のゴールを明確にする

目的や計画で「〇〇〇を行う」で止まっている人が多い印象ですが、どのような結果が得られれば この研究は成功した と言えると考えているのかがわかりません。

「〇〇〇を行い、△△△を明らかにする」のように、研究のゴールを示してください。

「〇〇〇をする」で止めない

ここに穴を掘る

「私はここに穴を掘るのだ!」と言われたところで、掘ってどんな良いことがあるのかが示されない限り、納得できません。

ところが多くの場合、以下の例のように、一連の実験(研究・解析)をしたらどうなるかではなく、どうやってするのかを詳しく説明してしまいがちです。

大学生に対して睡眠時間についての聞き取り調査を行う。

聞き取り調査により睡眠時間を調べるのは良いとしても、これはいった何のためにやるのでしょうか?この文章の構造は、「ここに穴を掘る」と本質的には変わりません。

詳しさが足りなかったためにうまくいかったのでしょうか?

shh遺伝子の発現をqPCR法により調べると共に、Merck社製のXXXキットを用いて、37℃2時間反応させた試料を用いてXXXXがXXXXで切断されるかを調べる。

読まされる(分野外の)審査員にとって各実験の細かい手順はどうでも良い情報です。申請書は論文とは異なりますので、審査員にとって37℃だろうが38℃だろうが、申請書を評価する上では大きな違いはありません。

むしろ、申請者の意図がわからない文章、これをやってどうなるかがわからないまま読まされる文章ほど苦痛なものはありません。

大学生に対して睡眠時間についての聞き取り調査を行い、学業成績と睡眠時間に相関が見られるかを解析する。

ここに穴を掘り、古文書で記されていた通り、徳川埋蔵金があるかどうかを検証する。

shh遺伝子の発現をqPCR法により調べると共に、XXXXがXXXXで切断されるかを調べ、XXXにXXXが結合しているかを明らかにし、これにより、XXXにXXXが結合していることを確認する。

太字のように、これらの実験・手順・操作がどのような意味や意義を持つのかを明らかにすることで、申請者の意図はかなり明確になります。

どうなれば成功なのか

審査員は研究の詳細はわかりませんので、何を示すことができたら、何が言えるのかについても審査員は見当がつきません。たとえば「〇〇〇解析をする」とだけ書かれても、解析した結果がどうだったら、どうだと言うのでしょう?

  • 〇〇〇を解析し、〇〇〇が〇〇〇であることを確認する。
  • 〇〇〇を実施し、もっとも効果の大きいパラメータを同定する。

のように、何かの解析や調査を実施した結果からどのようなことを言いたいのかを説明する必要があります。何のためにするのかと似た内容なのでどちらか一方だけで十分であることもありますが、一致しない場合は両方書く必要があることもあります。

  • 〇〇〇を解析する(解析して、どうなれば良いの?)
  • まず、〇〇〇を検討する(検討しさえすれば、それで研究は成功したと主張する気?)

また、研究目的を達成するために、大きな問題をいくつかの小さな問題に分割して、ひとつずつ研究するのが研究計画です。しかし、そうして分割した小さなピースだけを見せられてそれが全体のどこかを推測しなさいと言われると、審査員は困ってしまいます。すごく頑張って考えれば、予想できるかもしれませんが、審査員はあなたの研究にそれほど興味があるわけでもないので、そこまで頑張って考えてあげる義理もありません。簡単に予想できないので「よくわからない」として、全く評価されずに終わります。

  • これにより、〇〇〇を〇〇〇するための基盤情報を整備する。
  • 〇〇〇を実施し、〇〇〇を実証する。

のように、目的に対して、この研究がどのような意味を持つのかを説明します。これも、研究のゴールの一種と言えるでしょう。

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