そこそこテンプレート(学振DC_2019)の解説

そこそこ(60点)の学振申請書が書ける、そこそこテンプレート(DC1)で書くべき項目の解説をしています。

注意
  • 古い様式ですので、現在のフォーマットとは内容が違う部分があります。
  • 私自身の考え方が当時から(一部)変わっています。各自で判断してください。
  • 『ここはこう書け!いちばんわかりやすい科研費申請書の教科書』に詳細に解説していますので、そちらも参照してみてください。

解説(文献部分の解説は科研費版を参照)

1.これまでの研究分野を理解するための導入(一般的な背景)

2.これまでの研究分野から自分の研究してきた分野へ誘導(専門的な背景)

3.何がわかっていなかったか。(今回の研究で部分的にでも解明できたことを選ぶこと)

4.3の理由。単に「やられていなかった」「着目されていなかった」だけだと不十分

5.3による弊害。ここで示す弊害が大きい≒する必要のある研究という構図

6.3の問題解決のためのアイデアとその根拠

7.図1。ここでは解決方策(アイデア)の説明に図を使っている。図の説明の必須。

8.アイデアがうまくいくと考えられる傍証。机上の空論でないことを示す。

9.このアイデアを使って何を示し、何を明らかにするのか(目的)

10.この研究を始める前はどのような状況だったのか(何がたりていなかったのか)

11.着眼点、研究方法1、研究対象1

12.結果1

13.研究方法2、研究対象2

14.結果2

15.結果1と結果2から導かれる結論

16.このことは何に役立つと期待されるのか

17.成果発表1

18.研究計画1の結果得られた結果1もしくは結果2を利用して、研究計画2を行う

19.研究方法3

20.結果3

21.図2。研究結果の説明。前ページに移しても良い。

22.結論3

23.結果4

24.未解明のまま残った点。全部解決済みとしない方がリアル。そしてこれを次の研究計画に使えれば最高。ただし、いまは分野替えを要求されるので、そこは柔軟に対応。

25.上記の未解明点の解決方策。言いぱなっしではなく、フォローをいれておく。

26.成果発表2

27.独創、特色、特色、先進性などは現状の他と比較しての話なので、まずは現状を説明。

28.工夫した点

29.どこがどう他と違うのかを具体的に

30.結果のどれかを要約

31.結論のどれかを要約

32.そのことは、どこがどうすごいのかを具体的に

33.現状2

34.どこがどう新しいのか。

35.それによって何がどうなったのがすごいのか。他には申請者だけが知っている(できる)ことをベースにしているから先進性があるなども書けます。

36.これまでの研究を発展させる(延長する)形で書くとこうなる。何を明らかにしたか。

37.一方で何を明らかにできていないか(これこそが、今回の提案でやりたいこと)

38.そのことはどれほど重要なのか

39.この提案する研究を大局的に見たときに、どういう位置づけの研究と言えるのか

40.何を理解すればゴールと言えるのかをより具体的に

41.なぜこれまでそれが重要であるにも解決されてこなかったのかの理由

42.41に対して、申請者はどういうアイデアを持っているのか

43.そのことがうまくいくと考えられる根拠

44.研究目的を短く

45.図3。何をするのかがひと目でわかるような模式図等。無意味な四角と→は書かない。

46.~の理解という目的とは別の切り口で、~の開発等を併記するのも悪くない

47.もう少し挑戦的なことについては、○○○を目指すという形で記載する

48.具体的にすることを短く(計画1-1)

49.48をもう少し詳しく説明する。研究方法、研究のゴール

50.予備データがあると、この計画が現実的であることを、説得力をもって説明できる

51.予備データの続きから研究をスタートできる(着実に進んでいる)ことを説明する

52.計画1-2

53.計画1-1と1-2の結果から何を主張したいのか(仮説, どうなればうまくいったと言えるのか)

54.計画2に関する背景

55.現状の問題点、未到達点

56.研究方法と研究対象

57.56をより具体的に。「何をどうして何を明らかにしたいのか」の説明

58.より発展的な研究についても言及しておく

59.計画3に関する背景

60.現状

61.研究方法と研究対象

62.図4。研究計画の説明。研究計画は多すぎると内容が薄くなるし、少なすぎると変化が少なくなるので3つくらいが適当。そのうちの1つについて図を用いて説明する。

63.研究の結果次第での変化についても書いておく。全てが予想通りに行くわけではない。

64.研究がうまくいかない場合についても書いておくと独りよがりでない印象を与えることができる。また、研究が失敗し時のリカバリー方法がないとうまくいかない時にどうしようも無くなる。このように、ここまでは大丈夫というのは強い。

65.共同研究を行う場合は、自分の担当範囲を説明する。個々の計画の中で説明してもよいが、おそらくスペースを余計に消費するだけなので、まとめておく方が良いかも?

66.これからの研究計画の特色なので、現状の問題点の解決、さらなる前進が対象

67.解決のアイデアと何をどうするのか

68.すでにアドバンテージがあるという「先進性」も特色の一つ

69.独創的である独自であるというのは誰でも書けるので、具体的にどこがどのように独創的、独自なのかを記載する。多くの場合はアイデア(着想)について書くことになる

70.現状を整理する

71.70に対して、この研究はどういう位置づけなのか

72.またそのことはどのような意義があるのか(インパクトに近いが、自分の研究分野の中でのインパクトというイメージ)

73.現状(70より広い視点で)

74.自分の狭い研究分野だけでなく、より広い視点で周りを見た時に問題点は何か

75.どうすれば完成したと言えるのか、それによって何が変わる・示せるのか

76.周辺分野やさらに異分野に対しても影響がある=大きなインパクト持つ、という構図

77.手始めに何をするのか1

78.77を具体的に説明する

79.手始めに何をするのか2

80.研究計画そのものを採択前にできるなら、お金はいらないことになるので、この段階ではあくまでも予備的な研究をすることになる。

81.とはいえ、採用された時にスムーズに研究にとりかかれるようにしておくことを示す

82.実際には1年弱では終わらないので、初年度は引き継がないといけない。逆に採用前の1年弱で何かを明らかにしてしまうと、お金が無くてもできるやん、みたいになる…

83.さらに、発展的なこともする

84.条件分岐にも対応する

85.何をし、何を明らかにするか。前年度の結果を利用して、何かをすると書くのも計画の流れに必然性を与え、着実な前進を予期させるので良い。ただし、この場合、手堅い研究の結果を前提とするのは良いが、挑戦的な研究の結果を前提とするのは危険なのでダメ。

86.うまくいかない場合の対応を書いておくと計画に厚みが出る

87.何をするのか

88.87を具体的に説明する。

89.基本は前のものを引き継ぎつつ発展させる。年度ごとにスパッと切り分けられるとは誰も思っていない。

90.条件分岐にも対応する

91.何をするのか1

92.審査員が「〇〇〇はどうするの?」と質問しそうな事柄については予め答えておく

93.何をするのか2

94.最終年度はまとめにかかる。2年間の場合はすぐにまとめに入らないといけないので、計画はあまり大きくできないが、小粒にもできない。難しい。

95.具体的にどうするのか

96.うまくいかない場合の対応も書いておく。ただし、この見本では少し書きすぎかも!?全部に書いてしまうと逆にくどいので、3回に1回くらいでも良いと思う。バランス

97.何を対象とするか。十分な数→具体的な数字の方が、説得力がでる。まさにレモン10個分の世界。

98.何がわかれば(示せれば)嬉しいのかを説明する

99.条件分岐にも対応する

100.お約束。学生の場合はこれくらいだが、教員ならHP、公開講座、サイエンスカフエ等を書いてもいいかも。

101.自分の興味はすごく広い視点で見た時にどこにあるのか。あまりに狭いと専門バカになってしまうので、かなり広めに視点を設定する。

例:動物の環境応答、量子レベルでの○○○の振る舞い、人間の感性とは何かを知ること、文化人類学を通じて人間とは何かを明らかにすること……

「研究を志望する動機・自己の長所」基本構造は、以下の通りです。

わいは○○○に興味があるねん→それを明らかにすることは自分も世界もハッピーなれる→その目的を達成するために学振が欲しい→けど、学振だけではダメで、それを実現するには○○○が要るんや……→けど、わいはそれを持っとるで。→だから、あとは学振に通してくれるだけでええねんで。

102.その興味の対象に関わることをしてきたエピソード(昔から興味ありますよ)

103.重要なんだけど、まだまだわかっていないことだらけの分野なんです

104.ちょうど自分の興味とも一致するので、この分野で頑張りたい。学振が税金からなので、一応、国内の科学に貢献するアピールもネジこんでおきます。

105.希望する分野で何かを為すためには好き・興味があるだけではダメで、知識や洞察(他のものでも可)が必要である(知識・洞察なら大抵の分野で言えるので便利)。それはなぜか?について説明する。例:複数の領域にまたがっているから、日進月歩の分野だから、外国・他分野とのコミュニケーションが必須だから、etc

106.105で指摘した能力を申請者は有していることをアピール

107.106の様に言えるのはなぜか。根拠を示す。

108.105で指摘した能力をさらに伸ばす方向で必要な資質を書く

109.同上。この手のことは大学等のHPとかにアドミッションポリシーとして書いてある。いくつか見て、自分がビビッと来たものを書く。ただし、105で指摘した能力、ここ(109)と113/114が一致していないといけない。

110.アピールポイント。なるべく学術的なことを書く。バイト・サークルで頑張ったなどは書かないほうがまし。授業を頑張ったのは微妙(学生の本文は勉強なので、頑張って当然だが、これはすごい!となるレベルまで頑張ったのならOK)。

111.110を詳しく説明する。また、そのことが、今回の申請やこれからの研究に生きていることを示す。

112.どこをどのように頑張ったのかを具体的に。研究は大変であるという前提があり、ここでこのように頑張ったから、研究でも同様に頑張れる(だから私に学振くれ)というロジックが背景にある

113.黒字だがその前文も含め、頑張ったことで得た能力を示す。自分が思う、研究者に必要な能力を順調に獲得しているアピールなので、105や109と一致している必要あり。

114.同上。1つだけでは物足りないので、2つくらいエピソードがあると良い。

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