申請書を書くにあたって、申請者自身が理解しておくべき心構え

私たちがは申請書を書く必要性を理解していますが、山のような仕事もあります。普段の研究活動や授業、会議など申請書を書くことに十分な時間を割くのはなかなか大変です。

つまり、よほど強い意志が無いと、どうしても申請書を出さないという方向での思考になってしまいます。そうならないためには以下の3つが重要です。

「十分に時間をかければ完璧な申請書が書けるはずだ」という幻想を捨てる

申請書に限らず、小説を書くとかゲームを作るとか何か創造的な活動をやったことがある方は経験があると思いますが、完璧を求めると完成しません。

たとえば、ゲーム作りのコツはエンディングから作ることです。スタートボタンを押せば即エンディング。そこから少しずつ作り始めるのです。ゲームシステムやストーリーなどから考え始めるとうまくいきません。完璧を求めるということは不十分な点に目を向けることであり、書き始めの段階ではあちこちで見つかるでしょう。理想を追い求めて、それらにいちいち取り合っていては、時間がいくらあっても足りません。まずは問題だらけでもいいから書き上げてしまうことを第一の目標としてください。途中までどんなに良くても書き終わらず提出できなければ、書いていないのと同じ扱いになってしまいます。初稿は30点くらいの出来栄えかもしれませんが、0点よりはマシです。

十分に余裕を持って始める

とはいえ、申請書を書くのにはある程度の時間が必要です。どんなに書きなれた人でも、頭をクリアにして思考を再整理する時間が必要です。また、3日で書ける分量だとしても急ぎの用事が入ったりして、十分な時間が確保できない可能性もあります。

締め切り日を確認するにも書きましたが科研費や学振は2ヶ月ぐらい前から徐々に意識し始め、1ヶ月前から書き始めるようにすれば、余裕をもって取り組めるでしょう。

諦めない

他のことで忙しい、十分なデータを集めてから次回に勝負した方が良いと判断した……。申請書を書き始めて途中で投げ出す人の言い訳は、笑ってしまうほど一緒です。人は何かから逃げ出す時に全力で言い訳を考え、自分自身を騙し・納得させ・罪悪感を減らそうとします。逃げるためなら、それこそ何でもします。

しかし、申請書を書こう(書かないといけない)と考えたのもあなた自身です。客観的に考えてその当時と逃げ出そうと考えている現在ではほとんど状況は変わっていないはずです。忙しいとかデータが十分でないなどは当初からあった問題であり、変わったのは「思ったよりも面倒だ」というあなた自身の心境です。

ここでも書くならば完璧を目指さないという思考が邪魔をします。時間が無いなら無いなりの出来でも構わないので、まずは逃げ出さないことを決めてください。そして優先順位を下げてでもいいので、提出することを目標に書くようにしましょう。一度書いてしまえば、次回にはもっと上手に書けるでしょうし、もしかしたら今回の申請で採択されるかもしれません。申請のチャンスは有限であり大切にすべきですし、何より、申請すること自体にデメリットはほとんどありません。すべてのチャンスを活かし切ることが重要です。

ほとんど同じ内容なのに前回はダメだったのに今回は採択された経験を持つ方も多いでしょう。審査は水ものです。何が評価されるかなんて予想できません。予想できない以上、採択率を上げる(分子を増やす)のではなく、応募数を増やす(分母を増やす)方が得です。書き続けることで、文章がうまくなることも期待できます。

やる気スイッチなど存在しない

文章がうまく書けないと、気分が乗らず、どうしても後回しにしがちです。しかし、書かないという選択肢がない以上、いずれは書かねばなりません。やる気→行動ではなく、行動→やる気(気分が乗る)であることはよく知られている事実です。やる気が出ないから書けないのではなく、書こうとしないから書けないのです。問われているのは覚悟と行動です。

世の中には、いろいろと「やる気」に関連した書籍が出版されていますが、やる気の出し方は永遠の課題ですよね… それだけ、皆苦労しているということでしょうね。

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