データが利用できる2004年以降の科研費の基盤A-C・若手・挑戦的研究の採択率および応募者数・採択率・平均配分額を示します。

基盤研究・挑戦的研究の応募者数と採択率

採択率は基本的に安定しており、基盤研究に関しては25%前後でしたが、基盤Bに関してのみ採択率が30%に跳ね上がっています。基盤Aや基盤Cは変化していないので、理由がよくわかりませんが、基盤研究は採択率を一定にしようとしている可能性が高いので、基盤Bの採択率の目標値が30%に変更になった可能性もあります。来年度以降が注目です。挑戦的研究は重複制限がきつすぎて応募者が減少し続けた結果、採択率が上がっています。

科学研究費助成事業(科研費) 科研費データ (jsps.go.jp)

若手研究の応募者数と採択率

2018年度より若手(A)が廃止され、若手研究に統合されました。応募回数制限が掛かっているせいか、それほど応募者数は伸びておらず、ほぼ一定です。こちらも基盤Bと同様、長らく採択率30%程度で安定していましたが、昨年度より40%に跳ね上がっています。これも目標値が変更された可能性が考えられます。いずれにしても、配分額ではなく採択率重視の配分方針がよくわかります。

科学研究費助成事業(科研費) 科研費データ (jsps.go.jp)

ますます、申請書の書き方の重要性が高まってきている

採択率を一定に維持するためなのか、平均配分額については長期減少傾向ですが、下げ止まったようにも見受けられます。

以前は基盤Cに出すくらいなら、基盤B+挑戦的萌芽というのがセオリーでしたが、挑戦的研究の競争率が高いため中々難しい状況になってきたように思われます。それでも、基盤Bの平均配分額が500万程度であるうえに、採択率も上がっていることを考えると、まだ基盤B+挑戦的研究(萌芽)の方が期待値は良いでしょう。基盤Cの方は平均配分額が減少、採択率変わらず(上限?)ですからね。

今後は、一つの科研費で研究費の全てを賄うというよりは、いろいろ応募して細かい研究費を積み上げるスタイルになるかと思われます。そういった意味でも、申請書をしっかり書くことで打率を上げていくことが、安定した研究基盤の構築に重要になってきます。応募書類を書く回数は増えそうなので、あまり時間を掛けずとも良い物が書けるようにトレーニングが必要です。