助成金の募集ページには大抵の場合、過去の採択者と課題名、審査員が掲載されています。これらは応募しようとしている助成金の性格が大きく反映されるところであり、申請書を書く際に、どの研究テーマで書くのか、どれくらいの背景知識をもっていると想定するのか、などのヒントになります。
また、研究を始めるにあたっては関連する研究がどれくらいあるのかを調べることも大切です。自分では新しいと思っていても、すでに誰かが研究していたということはよくあります。
過去の採択事例・審査委員の調査
科研費や学振のように1000人単位で採否が決まるような場合は、全てチェックすることは困難ですが、採択者が~100名程度のものであれば、どのような申請が採択されているかチェックすることはとても有効です。
採択されやすいテーマを探す
民間財団やプロジェクト型の助成金の場合などは、特定のテーマを優先して採択するケースがあります。たまたま該当しているのであればラッキーですが、そうでない場合においても、少しでも採択される可能性が高いテーマを選択するようにします。研究内容についても同様で、実際にすることはたとえ変わらなくとも、書き方次第では助成金の意図に寄せることは可能です。
採択された申請書を探す
公開された過去の採択者の中には知り合いがいるかもしれません。申請書を見せてもらえないか頼んでみるのは有効なアプローチです。より具体的な内容を知ることができますし、他の人の申請書の書き方を知るよい機会でもあります。
「他の人には内容を伝えることはしないし、純粋に書き方の参考にさせて欲しい」と伝えれば、大抵の場合は見せてもらえるでしょう。ネット上で公開されていることもあるかもしれませんので、一度は検索してみましょう。
審査員を知る
審査員が公開されている場合は、審査員の専門を調べておきましょう。大抵の場合、分野が近い審査員が申請書を読みますので、その審査員が理解できるように申請書を書く必要があります。すごく専門の近い審査員がいるのであれば、ある程度詳しい内容を書いておいた方が申請書の価値を評価してもらいやすくなるでしょう(他の審査員を置いてけぼりにしてはいけませんが)。
いずれにせよ、誰に向けて書くのかの具体的なターゲットが明確であるほど有利になります。
参考にする先行研究の確認
多数の論文が毎日のように出版されており、関連分野の論文だけでも膨大な数になりますので、それら全てを把握するのは困難です。それでも、自分が関わる分野については定期的なフォローが必要です。
申請書においえても時々「〇〇〇については全く明らかにされていない(実際には、そんなことはない)。」みたいなものがありますが、背景知識が不足しているとみなされるとそれ以外についても信用されなくなってしまいますので、注意が必要です。
学術データベースの利用
PubMed、IEEE Xplore、Google Scholar、Scopusなどの:学術データベースは、多数の学術論文を収録しており、検索機能を使って関連する論文を見つけることができます。キーワードや著者名、タイトルなどを使って検索し、絞り込み条件を適用して目的の論文を見つけましょう。
引用文献リストの参照
既存の論文を読む際には、引用文献リストを確認することが重要です。興味深い論文を読んだ場合、その論文が引用している先行研究や関連する研究を調査することで、関連論文を発見することができます。
総説の参照
総説は、特定の研究領域における重要な論文やトピックのまとめです。文献レビュー論文を読むことで、その分野の最新の状況や関連する論文を把握することができます。
学術コミュニティとの交流
学会やセミナー、研究グループなどの学術コミュニティに参加し、他の研究者との交流を図ることも関連論文を見つける手段の一つです。他の研究者からの推薦や提案を受けることで、新たな研究方向や関連する論文を知ることができます。