ここでは、学振や科研費の申請書を書く際に重要となる「おもしろい研究」とは何か、またなぜ研究テーマ選びが重要なのかについて解説します。

Nature Newsでは、申請書の評価と、その後に生まれた論文の評価との間に一定の相関が見られたという記事が紹介されています。単純化して言えば、評価の高い申請書からは、評価の高い論文が生まれやすいということです。

もちろん、実際には「申請書の評価と研究成果は必ずしも一致しない」という報告もあります。申請書の段階で見えている研究の魅力と、実際に研究を進めた後の成果は、完全に一致するわけではありません。それでも科研費.comでは、「おもしろい研究テーマは良い論文になりやすい」という立場を取ります。そう考えなければ、そもそも良い申請書を書こうという気にならないからです。

High-scoring grant applications yield more highly cited papers│Nature

研究を料理に例えてみる

研究テーマの重要性は、料理に例えるとわかりやすいかもしれません。

いまここに、良い研究テーマと、つまらない研究テーマがあるとします。料理に例えれば、良い研究テーマは良い食材、つまらない研究テーマは質の悪い食材です。そして、研究は調理にあたり、最終的にできあがる論文が料理です。

良い食材をうまく調理すれば、おいしい料理ができます。良い研究テーマを適切に研究すれば、良い論文になる可能性が高くなります。一方で、最初の食材が悪ければ、どれだけ調理を工夫しても限界があります。どれだけ高度な技法を使い、どれだけ美しい器に盛ったとしても、泥水は泥水です。

もちろん、良い食材を使ったからといって、必ずおいしい料理になるわけではありません。調理の仕方を間違えれば、高級食材でも台無しになります。同じように、良い研究テーマであっても、研究計画が悪かったり、実験が不十分だったり、論文としての見せ方を間違えたりすれば、良い成果にはつながりません。

しかし、ここで重要なのは非対称性です。良い食材がまずい料理になることはありますが、悪い食材がおいしい料理になることはほとんどありません。良い研究テーマが平凡な論文に終わることはありますが、つまらない研究テーマから非常に価値の高い論文を生み出すことは難しいのです。

つまり、研究が成功するかどうかのかなりの部分は、テーマ選びの段階で決まっています。何を研究するかは、研究を始めた後では簡単には変えられません。だからこそ、申請書を書く前の段階で、自分の研究テーマが本当におもしろいのか、価値のある問いになっているのかをよく考える必要があります。

申請書の文章を磨くことも、図をきれいにすることも、研究計画を整理することも重要です。しかし、それらはあくまで調理の技術です。そもそもの材料である研究テーマが弱ければ、その後の努力には限界があります。良い申請書を書きたいのであれば、まず良い研究テーマを選ぶこと。そのうえで、そのテーマの価値が審査員に伝わるように調理していくことが重要です。