何を具体的に書くべきか・何を省略すべきか

申請書は審査員を説得し、あなたの提案を受け入れてもらうための文章です。そのためには、審査員が求めていることを書き、求められていないことを書かないことが重要です。

具体的に書くべき内容

問題点

何かについて新しく研究しようとしているのですから、申請者は何かが不十分であると考えているはずです(全てが満足しているのであれば、研究する必要がない)。そこを明確にしないと研究のモチベーションが伝わりません。

また、なぜそれが問題なのかも説明する必要があります。「ここに穴が無いから穴を掘ります」と書いたところで誰も納得してくれません。「ここに徳川埋蔵金がある可能性があるのに、穴が無いから、穴を掘ります」だと納得してくれる人はいるでしょう。このように、「何かが足りない」、「何かをすべきだ」という主張とセットで「なぜそう言えるのか」について説明する必要があります。

アイデアとその根拠

具体的な問題を指摘できたとしても、それを解決する方法が無いのであれば、研究テーマとしては不適当です。また、誰もができる方法しか思いつかないのならば、べつに申請者がこの研究をしなくても他の人がすれば良いということになってしまいます。

「なぜ他の人にはできないが、申請者ならギリギリできる」と主張できるのか、についてはしっかり書いて審査員を納得させる必要があります。

研究のゴール

 申請書において指摘する問題点は中長期的なものであり、この申請書において解決するつもりであることは研究目的欄で書きます。これこそが短期的な研究のゴールです。

また、さらに短期的な超短期的な研究のゴールは研究内容の「どこまで明らかにしようとするのか」で具体的に書く必要があります。言い換えると何が示せれば、この研究は成功だと言えるのか、に対する答えです。ここがわからないと審査員も研究内容を評価しようがありません。

省略あるいは簡略化すべき内容

研究内容の細かい部分

「審査員の専門は別にあり、あなたの研究分野に興味があるわけではない」という事実を認識するところから始まります。時々、研究分野の歴史や詳細な部分までを説明し、審査員を教育しようとするかのような申請書を目にしますが、興味が無い審査員にそれらは全く響かないばかりか、申請書を読みたくなくさせるという点でデメリットにしかなりません。

審査員が知りたいのは、研究内容を適切に評価するうえで必須の情報のみです。総説として読む分には素晴らしい内容であっても、審査に不要な情報であれば書く必要はありません。

申請書の登場人物は少ないにこしたことはありません。

具体的すぎる研究の手順

研究内容・研究計画の欄に、

まず、〇〇〇を22℃に温め、次に△△△社製の◇◇◇で□□□を実施する。

のような研究の手順(Method)を書く人がいます。しかし、これが23℃であったり、△△△社製ではなく、◎◎◎社製であったとしても、分野外の審査員にとっては大した違いではなく、審査には全く影響しません。

むしろ、「何を・どうする」の先にある「なぜするのか」「どこまでするのか」「何が成功なのか」をキチンと書くことが求められており、手順部分を事細かく書いたところで評価にはつながりません。

同じ内容の繰り返し

何も考えずに思いつくままに書いたり、書く内容が少なかったり(大抵の場合は貧弱な研究計画に起因します)すると、どうしても同じ内容を繰り返しがちになります。また、背景と着想の経緯、独自性などは、意識して書き分けないとどうしても似たような内容になりがちです。

しかし、学振や科研費の申請書のスペースは短く、基本的には同じ内容・表現を複数回書く余裕はありません。上から読み直してみて、同じ表現があちらこちらで繰り返し書かれていることを発見したら、それは書き直しの合図です。

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