そこそこテンプレート(学振DC1_old)の解説

そこそこ(60点)の科研費申請書が書ける、そこそこテンプレート(学振DC1)で書くべき項目の解説をしています。

このテンプレートはMac版です

注意
  • 古い様式ですので、現在のフォーマットとは内容が違う部分があります。
  • 私自身の考え方が当時から(一部)変わっています。各自で判断してください。
  • 『ここはこう書け!いちばんわかりやすい科研費申請書の教科書』に詳細に解説していますので、そちらも参照してみてください。

解説

  1. 自分が研究している狭い分野ではなく、もっと広い分野における背景を説明します。広い分野とは、後で出てくる「本研究が与えるインパクト」がおよぶ範囲と読み替えても良いです。
  2. 1で説明した広い分野が抱えている問題点を指摘します。一般に指摘されている問題点は問題が大きすぎて解決できない可能性がありますので、ギリギリ解決できそう、かつ、解決できたときの影響が大きい物を選びます。研究テーマとアイデアの生み出し方が参考になるかと思います。
  3. いまのままでは、問題が広すぎる(大きすぎるので)もう少し対象を限定します。個々の問題に目を向けた時に、何がどこまで明らかにされているのかを明確にすることで、これからの研究計画との差別化をはかります。
  4. 今回あつかう問題点を具体的に示します。
  5. この問題のせいで起こっている弊害を具体的に示すことで、問題の重要性を説明します。○○○ができない、○○○の全貌を見通せない、○○○で近似されているなどですね。分野を全否定することなく、解決できたらもう少し良い未来になるのに程度がいいかと思います。全否定でもよいですが、その場合は相当なものを提案しないと釣り合いがとれません。
  6. そのように重要な問題が今まで解かれずにと残っているのには理由があります。それを説明していきますが、ここではそれを理解してもらうための下地作りとして、後の7のための背景を説明します。
  7. 研究計画前半の核心です。ここが月並だと全体が台無しになります。頭をフル回転させてください。面白い研究テーマの見つけ方で説明しているようなオズボーンのチェックリスト等を使って新しいアイデアを考えてください。ポイントは、あなたらしさです。これまでの研究経歴や所属ラボの得意技術などに由来したものであれば、あなたがする合理的な理由となりますが、これまでとは全く違う背景の場合は、あなたをプロと見なすことは困難ですので、説得力は大幅に低下します。そうした場合でも考え方、研究態度など何かしら芯が一本通っていることをアピールする必要があります。
  8. さらに扱う対象を限定します。分野全体の問題をあなたが扱いたいテーマにまで落とし込みましたが、実際にやったことはその一部のはずです。なので、扱いたい問題のうちどの部分の何を明らかにしたのかを具体的に説明します。
  9. 研究課題名1をゴシック体で書き、どのような方法で研究したのかを簡単に説明します。
  10. 11と12を併せて明らかにしたこと・開発したもの・検討したことなどを説明します。この辺の文言は内容によって変えてください。
  11. 研究課題1と基本構造は同じです。文末をすこしいじってコピペ感がないようにしないといけません。実際書いているとそうはならないと思いますが、全体にわたって○○した。その結果、○○を明らかにしたのような感じが続くと読む方はげんなりしますので、少し抑揚というかリズムをつけることを意識します。
  12. 研究課題1と2の結果をまとめて、全体の結論(1)を示します。
  13. 結論(2)を示します。ここでは、同じような感じにしないために、これまでとの比較を行っています。比較する場合には数値など具体的なことを盛り込むことで説得力を増すと良いでしょう。
  14. 本研究の位置づけを説明します。ここでは、仮説が予想通り証明されたというバージョンですが、仮説が支持されなかったという場合もあり得ます。ネガティブをポジティブにで説明しているように、そういった場合でもうまく書くことで今後の研究にうまく繋げられます。逆に、あまり全てがうまくいったという書き方をしてしまうと、これからの研究ですることがなくなってしまうということにもつながりかねませんので、無理して全部出来たという必要はありません。出来た部分とできなかった部分を書いて、できなかった部分をこれからの研究計画に書くというのは良いと思います。
  15. どの部分がどの程度明らかになったのかを説明します。
  16. 学会発表や論文発表がある場合にはここでアピールします。とくにない場合は省略して構いません。
  17. 研究の特色と独創的な点です。もう少しスペースを割いても良いかも知れません。現状がミニマムです。ここでは一般性・汎用性について書いていますが、技術や知見の先進性など他にも書くことはあります。研究の独自性、創造性を参考にしてください。
  18. 特にDCはこれまでの研究とこれから研究は連続しているべきです。博士課程から分野を変えた人はちょとつらいですが、解析方法の類似性をアピールするか、逆に異分野の知見をもっていることで新しい切り口から対象を理解できることをアピールするかになるかと思います。4で説明した分野の問題点をもう一度軽く説明します。
  19. その問題点のうち、これまでの研究でどの部分を明らかにできたのかを研究手法や研究結果と共に説明します(結果的にどの部分が未解決かの説明にもなっている)。
  20. 残っている問題というよりはここで扱う問題を説明します。ここでのポイントは必ずしも重要な問題が次にやるべき課題ではないということです。学振の期間は限られていますし、実際には扱いきれない問題もおおいので、できること(やること)をなるべく重要な問題であるという風に説明することを考えてください。本末転倒と言われればそれまでですが、論文等で多く使われているテクニックです。
  21. 問題を明らかにするためのアイデアです。繰り返しになりますが、あなたらしさが求められています。誰もが思いつくようなこと、お金を大量に使えばできること、人海戦術で取り組む問題、同じことを延々と繰り返すテーマ(銅鉄実験系)はあなた以外にできる人はおおいので、却下です。仮にそのようなテーマであったとしても、なんとか捻りだすべきです。
  22. そうしたアイデアはちょっと目新しいので、審査員に理解してもらうためにアイデアの説明をします。
  23. そのアイデアを使えば、何がどう理解できるのかを説明します。説明せずともわかりそうなものですが、いちいち言葉にして説明しないと、意外と理解してくれません。
  24. そのアイデアを実現するために具体的にすることを・明らかにすることを研究目的として説明します。
  25. その結果、残されている問題点の何がどう解決されるのかを説明します。これがしょうもないと、「解決する必要のなかった問題」という判断につながりかねません。
  26. もういちど文頭で研究目的を明確にしておきます。
  27. さらに、そこから派生した目的を加えることで、深みのある研究であることをアピールします。ここは好みですので、ストレートに一つの研究目的だけというのでも構いません。
  28. 計画1は最も中心となる研究を持ってきます。その背景(もしくは問題点)を説明します。
  29. することの詳細はあとで詳しく述べますので、1-1と1-2をまとめた「すること」を簡単に説明します。
  30. 1−1と1−2と2つに分けることで一つの研究課題を様々な方向から検討する姿勢をアピールします。1−1の研究手法について簡単に説明します。
  31. 具体的に何をするのかを説明する。
  32. 申請書の中盤と終盤を特に印象的にで説明しているように、予備データをいれることで印象的な申請書になります。また、それをより理解してもらうために図をいれます。
  33. 1-2も基本的には1-1と同様です。理想は同じことを1-1と1-2の異なるアプローチで明らかにすることを目指すというパターンです。これにより、お互いが研究がうまくいかなかった場合のバックアッププランとなります。
  34. 研究計画2は手堅い研究をおすすめします。
  35. ここでもうまくいかない場合に言及することで、よく練られた申請書であることをアピールします。
  36. 代替案にはいくつかありますが、実験条件を変える、実験方法を変える、最低限いえることを言うなどがあります。詳しくは「予想通りにいかないときの対応」の書き方を見てください。
  37. 研究計画3は挑戦的な課題にします。研究計画2が手堅いものであったので、これでバランスをとります。
  38. なぜ未解決のまま残っていたと「考える」のかを説明します。
  39. 独創的というためには理由がいります。それを申請者のアドバンテージに求めます。研究手法・切り口などですね。
  40. さらに具体的な予備データを出すことで先進性のアピールもします。
  41. 学際的であることなど、何かあれば付け加えます
  42. 研究で明らかになる(予定である)ことを説明します。
  43. これらの結果が他の人の研究活動にどのように影響をあたえるのかを説明します。研究のやり方を見直す必要があることを突きつける系と、より研究が進む系があります。こちらは狭い研究分野に対しての説明です。
  44. こちらは広い研究分野およびその周辺分野に対する影響を説明します。現実的には、こちらの実現可能性は幾分低くなりますので、多少「盛っても」構いませんが、月並なことを述べる程度では差がつきませんし、審査員は読んでがっかりするだけです。
  45. 年次計画は研究内容よりはもう少し具体的にすることを説明しますが、あまり具体的すぎる必要はありません。○○をmV、○○Aで扱い、ネガティブコントロールには○○を用い・・・などは不要です。具体的に考えているよということがわかれば十分です。
  46. DC1の場合は3年ありますので、2年目は1年目の続きという課題もあるかと思います。その場合は続きであることを示します。ただ、全てを続きにしてしまうのはダメです。1年目で終わる課題を入れることで着実に成果がでる研究計画であることを示します。
  47. 3年目は挑戦的な内容で構いません。「論文としてまとめる」という文言を入れる人もいますが、学位をとるためにも、成果をまとめるという意味でも当然ですので、これを書いたからといって審査員が評価することはありません。書かなくて良いです。
  48. 書いたからといって評価されることはありませんが、書かないと減点対象に成り得ます。必要最低限は書いておきましょう。科研費と共通ですので指導教官に見せてもらうのが手っ取り早く確実です。
  49. 特にありませんが、新聞に紹介された等は積極的に書いておきましょう。
  50. 研究計画は広い分野から狭めて行きましたが、こういう展望系(ディスカッションなども)は狭い分野から広い分野へ広げていきます。
  51. ここでは基礎vs実学という構図ですが何でもかまいません。この例文の肝は二種類のものの架け橋となりたいという趣旨ですので適当なものを入れてください。
  52. 特にない人を想定して授業等を書くようにしていますが、経験値高めの人は適宜変えてください。
  53. バイトで頑張った等でも良いですが、「我が国の学術研究の将来を担う」という点において評価されることを意識してください。
  54. 何か問題があり、それを私なら解決できるという趣旨に沿ったものであれば、「相互の理解不足」でなくても良いです。
  55. 修士に進んでから逆のことをしたという前提で書いていますが、同じ方面をより深めたでも構いません。ただ、その場合は2つの分野をつなぐということに説得力がなくなってしまいますので、工夫が必要です。
  56. 学術研究にどのような形で携わりたいのか夢を語ります。ノーベル賞や世界を根底から変える等でも良いですが、まあ、現実的なところの方が説得力があるでしょうね。
  57. どのように貢献するのか具体的に想定できることを書きます。なんとなく貢献したいでは、本気度が伝わりません。
  58. 別のアプローチによっても目的を達成することを考えます。この辺は研究計画と似ていますよね。結局同じことです。本気でやりたいなら、失敗するリスクを常に考えてそれに対処して当然ですよね、という話です。
  59. 82を具体的に説明します。
  60. 目的以外でどのように貢献するのかを示します。
  61. 現在、コミュニケーション能力は求められているので一応フォローしておきます。語学力や企画力等でも構いません。
  62. 最後にもう一度まとめて、終えます。
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