特に申請書を書き始めの学生などは、話し言葉のように書いたり、やたら難しい表現を使ったり、適切な言葉遣いに苦労しているようです。また、内容をわかりやすく説明しようと余計な言葉を付け足した結果、かえって読みにくくなるといった例も見られます。
ここでは、そうした問題のある言葉づかいを挙げ、その言い換え例を示します。基本は「シンプルにわかりやすく」です。
堅苦しい表現はしない
書き言葉であると変に身構えて、やたらと堅苦しい表現を選んでしまう例があります。以下は全て、実際の添削で見かけた例です。
申請書だからといって、堅苦しい表現は不要です。多くの人は普段から「枚挙にいとまがない」なんて言いません。こういった表現を使いたがる理由のほとんどは、何となくカッコよくて箔が付きそうだから、です。こういったものは、分かりやすい申請書には不要です。もっとシンプルに言い換えができないかを常に模索してください。俗に言われる「中二病」のような感じですね。
話すように書かない
かといって、くだけすぎるのも考えものです。
審査員はあなたの友人ではありませんし、話し言葉と同じ様に書くと幼稚さが際立ちます。以下に、リストを載せておきます。こういった例がそのまま申請書内に出てくることは少ないかもしれませんが、リストを眺めているとだいたいの感じはつかめると思います。
文語化した方が良い口語のリスト
- あまりに → 過度に/非常に
- いっぺんに → 一度に/一括して/まとめて
- あと → また/さらに/くわえて
- やる → 行う/取り組む/挑戦する
- してやる/してあげる → する
- してる → している/行っている/取り組んでいる
- してない → していない/現在、検討中である/計画している
- するけど → するが/であるが/だが
- …だ。→ …である。
- …だった。→ …であった。
- …だったら → …であれば/…だとすれば/…なら
- …だけど → …だが/…であるが
- (文頭の)だけど/でも → しかし/しかしながら/だが/ところが
- (文頭の)ちなみに → これと関連して/しかし/ただし/また
- みたいな → 具体的に何かを書く
- (一個のものをさして)とかは → は/のようなものは
- とか…とかは → や…は
- したり…したりする → したり…する
- じゃなくて → ではなく(て)
- すごく/すごい → 具体的に説明する
- 簡単/楽 → 単純/易しい/容易
- 面倒/難儀/厄介 → 複雑/難しい/困難
「もの」、「こと」などは大抵省略可能
同じ内容ですが、もの、ことを省略するだけで、だいぶすっきりしました。このように、ものやことは省略しても良い場合が多いです。よりシンプルな表現を目指しましょう。もういくつか例を示します。
「もの」、「こと」ではありませんが、「であるかどうか」も気になる表現です。いずれの場合でも余分な言葉を省いても意味が変わっていないばかりか、よりすっきりとした表現になっていることに注目してください。
「ような」、「など」、「〜と言われている」などの曖昧表現は避ける
「のような」や「など」を書くときは大抵、それらが何を指すのかについて具体的には考えられていません(つまり練られた申請書ではありません)。何を指すのかが具体的に決まっているなら、それを書くべきですし、決まっていないなら省略すべきです。スペースの関係で全部書ききれない場合にのみ「など」はあり得ると思いますが、極力避けるべきです。
わざわざ余計な言葉を足して、読み手に不確実な印象を与える必要はありません。仮に〇〇〇が細胞分裂に関わっていないと考えている人がいたとしても、あなたの申請書の中で、「細胞分裂に関わっていること」を前提にしているのであれば、「関わっている」と断定した方が、読み手には混乱がありません。
シンプルに書くとは、余計な情報を切り捨てることです。情報を省略すると、100%正しくない場合も当然でてきます。単純化と正確性のバランスは難しいところですが、申請書に関しては言い過ぎない程度に単純化に比重をおいた方が読みやすくなります。