申請書の重要性
私たち研究者や研究者を目指す人たちの究極のゴールは、真理の発見や人類の知の進歩、科学を通じて世の中を良くすることです。もしかしたら、ノーベル賞などの受賞により社会的名声を得たい人もいるでしょう。
いずれにせよ、こうした目的を達成するためには、日々の地道な研究活動が必要ですし、そうした研究成果を論文や著書、大概的な発表を通じて、定期的に世に送り出すことも求められます。
こうした活動を支えているのが公募などによって獲得された科研費をはじめとする研究費(競争的資金)です。獲得した研究費を用いて、新しい発見・発明を行い、その成果を論文としてまとめます。そして、論文成果を元に新たな研究費を獲得する、というように研究活動は輪になっています。
つまり、私たちが研究を続けていくためには、必ず、申請書を書かなくてはならないのです。「論文は研究者にとっての通貨だ」とか「Publish or Perish」などの言葉はこのことをよく表しています。
また、研究者としてステップアップする際にも申請書は重要です。学生の時は学振、ポスドクの時はフェローシップや教員公募書類、教員になったら自分だけでなく研究室メンバーのために科研費を始めとする研究費など、研究人生の節目節目で申請書を書くことが求められます。特に最近では、任期付きのポジションが普通になり、昇進し続けないと給与はもちろん自由な研究環境すら失われてしまいます。
研究や論文が日々の努力の積み重ねであるのに対して、申請書を書くという行為は「技術」として比較的簡単に身につけることができます。文学は才能ですが、申請書は技術です。気の利いた言い回しや独自の文体などは不要であり、ただ読みやすく・わかりやすく書けばよいので誰にでも再現可能です。
科研費.comは申請書の書き方の具体的なノウハウをお伝えすることで、皆さんが本当にやりたい研究を続けていくことに貢献できればと思っています。
申請書における書き方の重要性
学振・科研費・教員公募などの申請書を書き、研究費や独立した研究環境を獲得すことは、やりたい研究を続けていくためには避けては通れません。科研費.comでも、科研費や学振を始めとして主要な申請書の添削をお手伝いしてきました。
そして、その過程気づいたことは、申請書の採否の6割くらいは書き方で決まるということでした。もちろん、業績が重要であることは間違いありません。ただ、特に学振の場合は、全員が研究を始めたばかりで業績が似たり寄ったりであること、書き方の面で改善の余地が大きいことなどから、書き方の占めるウェイトは相対的に大きくなっています。
逆に、基盤A/Sや新学術領域、CRESTなどに採択されている先生方の申請書を見せてもらうと、どれも大変良く書けています。すなわち研究の世界において偉くなるということは申請書を書くのが上手になるということであり、いくら研究内容が優れていても、その面白さ・重要性を他人に伝えることができなければ評価されない世界なのです。
実際、申請書を書く段階においては、研究成果はもはや変えようがありません。配られた手札の中で最善を尽くそうと思えば、必然的に申請書の書き方を工夫せざるを得ないのです。