申請書は審査員に対して研究の必要性を説得するために書くものです。その際に、単に「未解決である」だけでは、その研究を行う理由としては不十分です。

有料会員へのご招待

科研費.comは基本無料でご利用いただけますが、いくつかのコンテンツは有料会員専用になっています。

科研費.com 有料会員の特典

  • 申請書テンプレートのダウンロード
  • 100以上の#科研費のコツの解説ページへのアクセス
  • 混雑時の優先対応

料金

  • 999円/永年
  • 『ここはこう書け! いちばんわかりやすい科研費申請書の教科書』をご購入の方は有料会員登録の無料クーポンコードを進呈!
書籍の100ページ目の左上から見た時に、最初に登場する英単語〇〇〇〇〇〇(英数小文字)がクーポンコードです。
ヒント:小文字のLではなく1です。
無料会員登録時と同じメールアドレスをご登録ください。
¥999

「なぜ、いま」このタイミングで研究すべきなのか

すべきことはたくさんありますので、優先順位をつける必要があります。その際に、いましかできないこと、今だからこそすべきこと、などは研究の優先度は高くなります。逆に、いまはまだできないことや、大きな問題になっていないことなどの優先度は低くなります。

ただし、そうそう都合の良いことはないので、こうした事例に該当すれば忘れずに書いておくくらいで良いでしょう。

優先度の高い例

  • 研究材料がいましか手に入らない(ハレー彗星の観察、タケの開花、〇〇年ぶりの〇〇)
  • 最近になって、この分野でブレイクスルーがあり、できることが飛躍的に増えた。
  • 本研究に関連した議論が高まっており、研究の機運が高まっている。
  • 具体的な問題が生じており、解決する必要がある。

優先度の低い例

  • 「〇〇〇すれば〇〇〇になるかもしれない」のような仮定に仮定を重ねた不確かな将来に向けた予防的研究(重要性とのトレードオフですが、起きもしないことに対して研究する優先度は低い)
  • 太陽の膨張のような、遠すぎる将来ことに対する研究
  • すでに散々研究されており、特に新しいアイデアもない研究

他の人よりも「あなたが」この研究を実施することの強みは何か

研究する必要性があるにしても、それをあなたが研究すべきなのかについてはよく考える必要があります。たとえば、ノーベル物理学賞をとった研究者が、中世の税法などの研究で大きな成果を出せるとは考えづらいように、他にもっと適切な人がいるならその人に任せるべきです。

申請者としては、自分こそがその適切な人材であると主張する必要があります。この際に、何も自分が世界でトップクラスである必要はなく、

  • 私の独自のアイデアである
  • 予備的なデータがある
  • これまでにも扱っており、取り扱いに慣れている

程度でも十分です。理屈の上ではうまくいくというのは無しです。

他の研究ではなく、「この研究を」実施すべき理由は何か

多くの人にとって、これがもっとも書けていない部分でしょう。世の中には未解決の問題は山ほどあり、そのうちの大半が解くに値しない問題だったとしても、それでも重要かつ未解決な問題は依然として山ほどあります。

こうした中から、あなたは、この研究計画で1つの問題を取り上げました。なぜ他ではなくこれに取り組むべきだと考えたのでしょうか?理想的には、この質問に対する答えが欲しいのです。もちろん、全ての問題が目の前に見えているわけではありませんので、この質問に直接的に答えることは難しいのですが、それでもこの研究がどの程度重要なのか、については答えられるようにしてほしいです。

  • 弊害が大きい(みんな困っている)
  • 当たれば大きい(うまくいったらみんな嬉しい)

などは典型的です。もう少し現実的なところで言えば、継続した研究を念頭に、「これまでに〇〇〇をして、〇〇〇を明らかにしてきた。しかし、〇〇〇については明らかに出来ておらず、そのために、〇〇〇であった」のように書くことで、あと少しで研究が完成すると書くことも可能です。