目的には複数のレベルがあるにもあるように、研究目的には様々なレベルがあります。
- 人類としての目的
- 研究者としての長期的な目的
- 数年程度の中期的な目的
- 本研究の目的
- 本研究を達成するための個々の課題の小目的
これらを区別しないと混乱します。
#科研費のコツ 40
— 科研費.com (@kakenhi_com) February 9, 2024
ある目的はより大きな目的に内包されており、フラクタル構造のイメージです
✅人類の目的
✅申請者の生涯の目的
✅中期目標
✅本研究の目的
✅研究計画の具体的な目的
などさまざまなレベルがありますが、
申請書で主に問われるのは「本研究の目的」です。https://t.co/HNcK8GJybs pic.twitter.com/WEbX9cmHzY
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基本的な考え方
- 研究はすぐに完成しない
- 申請書で聞かれていることは科研費(学振)の研究目的
- ある特定の分野を研究しようとしていることは審査員も事前に知っている
こうしたことから、申請書に書く目的を「人類の知への貢献」「がんの撲滅」などあまり大きなものに設定する必要はありません。そう書いたところで、提案した内容は期間内に実現できないからです。また、本気で実現するつもりでそう書いたとしても、その分野に関連する研究は他にもたくさんあるので、すごく大きいことを主張した割には評価につながりません。
こうしたことから、「XXXの治療薬の確立」「人類の幸福」「食糧問題の解決」のようにあまりに大きすぎる目的を書くことは現実的ではなく、実際に、2-5年の研究期間でする内容はこれらの大きな目的を分割したもう少し現実的なサイズの目的であるはずです。
どこに何を書くか
広い背景(一般的な背景) 人類として/研究者としての目的を示し、研究の重要性を示す。
狭い背景(具体的な個別の問題の背景) 申請者の中長期的な目的を示し、申請者がどうやってその問題に立ち向かうつもりなのかの方針を明確にする。
本研究の目的 狭い背景で示した中長期的な目的を数年で解決可能な問題に分割し、その一つを解決することを目的とする。
研究計画 本研究の目的をさらに3つくらいの小目的にさらに分割する。これは、研究計画の見出しに該当する。
このように、同じ目的といっても、その達成にかける時間の長さや問題の大きさに応じて様々なレベルがあります。もちろん、それらの目的は全てつながっており、最終的にはひとつの究極の目的にいきつくのですが。
具体例
「研究計画の目的:見出し」目的の一種ですが、意味合いとしては本研究の目的を実現するための「手段」です。そしてこの「手段」を本研究の目的として書く人がまあまあの割合でいます。つまり、
といった書き方です。一見これは良さそうに見えますが、すでに指摘したようにこれらは、アルゴリズム開発という目的を達成するための手段です。手段を目的欄に書くとどうなるでしょうか?
「指標の開発に取り組むことが」目的であれば、取り組みさえすればこの研究は大成功だと言えるのでしょうか?…そんなわけないですよね?指標ができようができまいが、取り組みさえすれば大成功なんて甘い話があるわけありません。本当の目的は、開発した指標を用いることでアルゴリズムを開発することだったはずです。
こうした食い違いは「手段」を「目的」として扱ったことから生じており、これはいわゆる「手段の目的化」というものです。こうならないようにしないためには、何が本研究の目的なのかを見極める必要があります。
手段の目的化
手段の目的化|グロービス経営大学院 創造と変革のMBA
もともと、ある目的を実現するために手段を選択したはずなのに、その手段を実行すること自体が目的化してしまうこと。