なぜ申請書はストーリーを必要としているのかにもあるように、申請書は一つの物語ですので、背景、展開、オチが必要です。
#科研費のコツ 15
— 科研費.com (@kakenhi_com) January 15, 2024
申請書はひとつの「お話(物語)」です。
「まず〇〇する。そして〇〇する。最後に〇〇する。」のような申請書では「お話」になりません。
いくつかのパターンがありますが、基本は今ある問題を申請者が解決するという「英雄の物語」です。https://t.co/aZPZYBbAJm pic.twitter.com/pvkUB3PT5s
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ヒント:小文字のLではなく1です。
申請書は「物語」である
申請書はひとつの「物語」です。特に冒険小説のようにハラハラ・ドキドキを提供できる申請書なら最高です。
物語には様々な型がありますが、冒険小説は大抵このようなストーリーになっています。
- ここは剣と魔法の世界(これから何の話をするのか)
- 主人公は普通に暮らしていたが(現状の説明)
- 魔物の大量発生により苦しんでいた(何かの問題を抱えており、いろいろと困っている)
- 魔物は火口から湧いてくるので、そこに行き凍らせれば解決できると考えた(解決のアイデアと根拠)
- しかし、道中には強い魔物がいる(実現するためには困難が待ち受けている)
- 3匹の強い魔物をやっつけて、火口を凍らせる(具体的な目的)
- …
みたいな構成になっています。これは申請書の展開と類似しており、
- 人生の大半を占める睡眠は大切である(これから何の話をするのか)
- 睡眠は記憶の定着に関わっていることが明らかになっている(現状の説明)
- しかし、その分子メカニズムは不明であり、記憶が定着するメカニズムの全容は不明である(何かの問題を抱えており、いろいろと困っている)
- 認知症研究では神経ネットワーク構造と記憶率を対応付けにより研究が進んでいるので、同様の方法を用いることで記憶の定着メカニズムについても理解できると考えた(解決のアイデアと根拠)
- しかし、従来方法では時空間解像度は不十分であった(実現するためには困難が待ち受けている)
- 新しいイメージング手法を確立し、神経ネットワークをこれまでより高解像度で解析する(具体的な目的)
のように、ある程度の対応がつきます。もう少しミクロな視点でも申請書が物語であるというのを見てみましょう。
AAA法とDHY法
「そして(And)」が延々とつづく形で文が構成されています(AAA法)。これは事実をありのまま列挙するという意味では全く問題ありません。しかし、そこには「ストーリー」がなく退屈です。
「それにもかかわらず(Despite)、しかしながら(However)、それでも(Yet)」と話題の急転換を繰り返して読者を振り落とす形で文が構成されています(DHY法)。しかし、大仰な表現など過剰なまでにドラマティックな「ストーリー」は情報量が多すぎで混乱を招きます。
申請書に必要なものは、物語性を全て排除した記述でもなく、過度に物語的な記述でもありません。適度に物語があり、話題の自然な展開です。そこで活躍するのがABTです。
ABT(… And … But … Then …)法とドブジャンスキー・テンプレート
「そして(And)、しかし(But)、だから(Then)」の順で文章を展開すると極めて自然な流れになります。
内容はともかく、ストーリーがはっきりとしているのがわかるかと思います。このABTテンプレートは極めて有用であり、多くの物語で採用されています。
では、申請書においてこうした物語(申請書の核となるもの)はどのように見つけたらよいのでしょう。簡単なテンプレートとして、この本ではドブジャンスキー・テンプレートを紹介しています。
私は( )について研究します。なぜなら、( )においては、何事も、( )の観点から見なければ意味をなさないからです。
あなたが扱っているテーマについて考えてみればすぐに例文を思いつくことでしょう。