申請書添削のお申し込みついて

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「研究に関する自身の強み」の書き方

ある時から、学振の申請書に書くことを求められた項目です。学振の申請時に論文が採択されている人は少なく、みんなどんぐりの背比べ状態なので、差をつけるために導入されたのではないかと想像しています。

【研究遂行力の自己分析】

本申請書記載の研究計画を含め、当該分野における(1)「研究に関する自身の強み」及び(2)「今後研究者として更なる発展のため必要と考えている要素」のそれぞれについて、これまで携わった研究活動における経験などを踏まえ、具体的に記入してください。

・下記(1)及び(2)の記入にあたっては、例えば、研究における主体性、発想力、問題解決力、知識の幅・深さ、技量、コミュニケーション力、プレゼンテーション力などの観点から、具体的に記入してください。また、観点を項目立てするなど、適宜工夫して記入してください。なお、研究中断のために生じた研究への影響について、特筆すべき点がある場合には記入してください。

(1) 研究に関する自身の強み
・記述の根拠となるこれまでの研究活動の成果物(論文等)も適宜示しながら強みを記入してください。成果物(論文等)を記入する場合は、それらを同定するに十分な情報を記入してください。
(例)学術論文(査読の有無を明らかにしてください。査読のある場合、採録決定済のものに限ります。)
著者、題名、掲載誌名、巻号、pp 開始頁-最終頁、発行年を記載してください。
(例) 研究発表(口頭・ポスターの別、査読の有無を明らかにしてください。)
著者、題名、発表した学会名、論文等の番号、場所、月・年を記載してください。(発表予定のものは除く。ただし、発表申し込みが受理されたものは
記載してもよい。)

申請内容ファイルの注意書き

学振の応募時点では業績がない申請者も多く、業績リストでは十分に差をつけることができません。そこで、自己PRの場を設け、業績リストに載らないようなものも含め、研究者としての優秀さを広くアピールします。

研究に関する自身の強み

ご丁寧にも「研究に関する自身の強み」については、例を注意書きで提示しています。

研究における主体性、発想力、問題解決力、知識の幅・深さ、技量、コミュニケーション力、プレゼンテーション力などの観点から、具体的に記入してください。

ここでのポイントは「など」です。このことは、ここで示されている主体性…等はあくまでも一例であり、これらをそのまま書けと言っているわけではないことを意味します。申請者の強みが、本当にこれら全てに在ると言えるのであれば、それでも良いでしょうが、実際にはそこまでの完ぺきな人はおらず、こららのうちのいくつかについて書くことになるでしょう。

全てについて何か書かねばばならない、と考えてしますと、大したことの無いエピソードであっても針小棒大に書いたり、全く関係の無いエピソードを我田引水的に書いたりすることにつながてしまいます。「研究に関する自身の強み」の一例としての主体性…等を書くことには以下のような問題があります。

問題点1 総花的である

強みを書くためのスペースは半ページ~1ページほどになるでしょう。そうした限られたスペースに、あれもこれもと申請者の強みを書くと、一つ一つについて詳しく書く余裕がなくなり、表面的な説明になってしまいます。これはもったいないです。扱う数を減らしてでも、ある程度は深く説明しないと伝わりません。

現実的に、これら全てが強みとして優れている人は滅多にいないでしょう。そうしたなかで、全てがすごいという主張は、全てが平凡である、尖ったものが無いという主張とほぼ同じであり、審査員へのアピールという点では弱くなります。個々のエピソードの分量も少ないので、突っ込んだ話もできませんし、なおさら評価がしづらくなります。

問題2 強みを正しく表現できていない可能性がある

研究に関する申請者の強みとして、例として示されている主体性、発想力、問題解決力、知識の幅・深さ、技量、コミュニケーション力、プレゼンテーション力などは申請者の強みを正しく説明できていると言えるでしょうか?

たとえば、情報発信力、リーダーシップ、分析力、協調性など、個人の強みを表す言葉は他にも思いつきます。例として示された単語は本当に適切でしょうか?もっと良い表現はある可能性は考えましたか?

問題3 みんな同じ切り口なので、飽きる(おもしろくない)

たとえば、主体性であればほぼ全員が、

  • 自分で(相談しながら)課題を考えた
  • わからないところは自ら聞きに行くなど主体的に行動した
  • 積極的にコミュニケーションをとった

などの内容を書きます。切り口が同じであれば、書ける内容も自ずと同じようなものになります。

それ自体は良いのですが、問題はかなりの人が提示された例をもとに強みを書いてくることで、エピソードも含めて審査員は同じような内容を何度も読むことになります(だいたい1人あたり数十件読みます)。

ここは、誰がふさわしいかを評価する材料であるのに、同じような内容が多いと差がつかず、評価しようがありません。没個性にならないためにも、同じような内容は絶対に書かないくらいの心構えの方が良い結果になると思います。

具体例

先に書いたように、例として挙げられている強みをそのまま書くのは没個性的で好ましくないと個人的には考えていますが、エピソードの例として挙げておきます。

主体性

  • このように、主体性を持った研究活動を継続してきたことが評価され、修士課程および博士後期課程でそれぞれ、貸与型奨学金の半額返還免除対象者、返還免除内定候補者となった。
  • 本研究課題は申請者自身が主体的に研究課題を設定し、計画を立ち上げた。

発想力

  • 申請者は複数分野の知見から研究課題と問題解決策を発案してきた。本研究課題は、自身のアトピー性皮膚炎の経験と形態形成の理論的知見から、自身で創案したものである。これまで携わった研究活動では、研究の中で生じた問題に対して、数理解析と実験の両面から解決策を着想してきた。また数理モデルから得られた予測を基に新たな実験仮説を着想し、共同研究に繋げることができた。

問題解決能力・研究遂行能力

  • 申請者は ○○○法を改変し条件検討を重ねることで、○○○を安定的に観察できる解析方法を新たに確立し、これを用いて自身のモデルを支持する結果を得た。
  • この成果については、○○○誌に論文を投稿し、○○○など世界的に高い評価を受けた(業績○○○)。
  •  申請者は、理論と実験的な検証の両方を行った。

知識の幅・深さ

  • 申請者は、最新の知識のインプットと共有を目的とし研究科内で勉強会を主催している。さらに、専門分野以外の学会や研究会へも積極的に参加し、自身の知識を深めてきた。
  • 本研究の推進には○○○が必要だと考え、自主的に勉強した結果、○○○ができるまでになった。この成果は本研究計画の立案や遂行にも役立っている。

プレゼンテーション力・受賞

  • 申請者は筆頭著者として、これまでに○○○件の学会発表を行ってきた(業績○○○)。その中には、国際学会での発表(業績○○○)やシンポジウムでの招待講演も含まれる(業績○○○)。これらの経験を通して、専門外の研究者に研究成果をわかりやすく伝える能力を培ってきた。
  • 第 ○○○ 回○○○学会において、○○○を評価されて○○○賞を受賞した。また、○○○では、○○○を評価され、○○○賞を受賞した。
  • 本研究で得られた成果は学会などなどで積極的に発表し、○○○では○○○賞を受賞した[業績○○○]。
  • ○○○を学会で発表してきた。この結果は○○○学会において○○○となるなど、高く評価されている(業績○○○)。

その他

  • 申請者は、一貫した興味を持ちつつも○○○、○○○、○○○など様々な学問領域で学んだ経験をもち、分野ごとに対象へのアプローチが異なっていることに気づいた。本研究計画は、現象・メカニズム解明だけでなく、それを利用した産業応用や社会実装までを目的として含んでおり、申請者の持つこうした複眼的な視点は強みとなる。
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