研究課題名を気にする人は多いですが、実際にはそこまで重要ではありません。
研究課題名は評価項目には含まれていない
研究課題名は、わかりやすく、大まかな研究内容がつかみやすく、キャッチ―なものが良いに決まっていますが、公開されている科研費や学振の審査基準の中には研究課題名についての項目は含まれていません。
となればあまり気にしてもしょうがなく、他に時間を使った方がマシなのですが、それでも気になってしまいますよね。ここでは研究課題に含まれる3つの要素について紹介します。研究課題名は文字数制限があることも多いので、3つ全てを取り入れる必要はありません。
課題名の3つの要素
ここで紹介する研究課題名はKAKENで検索した、基盤研究(A)の採択課題です。申請書巧者がつけたと思われる研究課題名です。
要素1 方法
- 生きている微生物プローブを活用する血管内リアルタイム観察と光制御
- 低侵襲脳波からの想像音声のデコードによる意思伝達型BMIの実現
- 高精度細胞内送達機能を実装する高分子ミセルを用いた革新的がんゲノム編集療法の開発
- 生態系レジームシフト検知のための微視的特徴づけに基づく早期診断法の構築
このように、研究課題名に研究方法の概要が含まれるケースは多くあります。方法を書くことで、今回の提案が、絵空事ではなく現実的なものであることを予想させます。
研究課題名を見るだけで、どんなことをしようとしているのかが何となく予想できる点も高い評価につながります。
要素2 目的
- 低侵襲脳波からの想像音声のデコードによる意思伝達型BMIの実現
- 高精度細胞内送達機能を実装する高分子ミセルを用いた革新的がんゲノム編集療法の開発
- 情報科学の援用による多様な化学物質の包括的・即応的環境計測
- SDGsバイオ技術開発:微生物電気化学プロセスによる持続的な汚染浄化と金属回収
「本研究」が何を目的としているのかを研究課題名で宣言するのも良くある方法です。具体的な研究目的が示されていれば、研究課題名を見るだけで、研究の重要性や意義、妥当性についておおよそ見当をつけることが可能です。
要素3 展望
- 地域脱炭素のための未利用メタンの再発見とカーボンフリー水素化技術との融合
- 高精度細胞内送達機能を実装する高分子ミセルを用いた革新的がんゲノム編集療法の開発
- リアルワールド教育データからのエビデンス抽出・共有・利用のための情報基盤開
- SDGsバイオ技術開発:微生物電気化学プロセスによる持続的な汚染浄化と金属回収
「本研究より未来」の展望を示しておくことで、この研究のスケールの大きさや重要性をアピールすることができます。今回の研究課題がどこに繋がっているのかを示せるので、研究の重要性や位置づけがわかりやすいです。
ただし、展望で書く内容は本研究計画そのものではなく、それに向けて本研究では第一歩を踏み出すという位置づけですから、あまり展望を書きすぎるのも良くありません。さらりと書いてください。