必要なエフォートの目安(エフォートは後で減らせる)

e-rad内に「エフォートの管理」タブがあり、そこでエフォートの修正申請を行うことができます。この機能の意味を考えると、エフォートの合計値が100%を超えないように後からであっても調節することが可能であるということです。

ではどういった場合にエフォートを変更する必要が生じるのでしょうか?

新しい仕事が増えた

エフォートとは自分の持ち時間を100%として、その配分を示すものです。今、上の図の「いままで」のように研究費A~Cと教育・その他をそれぞれ40時間・30時間・20時間・10時間(合計100時間)で配分していたとしましょう。

そうすると、エフォートは40%・30%・20%・10%となります。いま、ここで研究費Dを取ってくるために新たにエフォートを割り当てる必要があるとします。持ち時間(100時間)が変わらないとすると「これから(1)」のように、それぞれから少しずつ時間を削って捻出することになります。

このような状況では研究費Aは40%→30%、研究費Bは30%→25%、研究費Cは20%→15%となりエフォートを修正する必要が生じます。これはエフォートが減ったからダメだというものではなく、実際、こういう割合で働く以上、仕方がありません。比較的小型、中型の研究(基盤B以下)などは思い切って下げてしまっても修正は認められると思います。一方で、大型予算の場合には研究時間を削るようなエフォートの下げ方は、認められづらくなるかもしれません。

人が増える場合など

アルバイト・パート・ポスドクなどの雇用や研究に携わる人員が増加すれば、相対的にあなたが関与する割合は小さくなり、エフォートを下げる合理的な理由になります。

計画時に人を雇用することを前提としてエフォートを見積もっている場合には、こうした効果は折り込み済みなっていると考えられますので、注意が必要です。

研究時間が増えた

では、研究時間を削らずにエフォートを下げる方法はあるのでしょうか?

エフォートとは持ち時間のうちの何パーセントをそこに割り当てるのかという数字ですので、分子に相当する研究時間を削らずとも、分母に相当する持ち時間を増やすことができればエフォートは下げることができます。

「これから(2)」では個々のプロジェクトに費やす時間は変わりませんが、持ち時間を100時間から120時間へと拡大することによって、エフォートは低下しています。この場合、研究時間を削っているわけではないので、研究は以前と同じペースで進めることができると主張しやすくなりますので、エフォートを下げることも認められやすくなるでしょう。

もっと仕事をする場合など

大学等での研究は裁量労働ですので、100時間を120時間に延ばすことは可能です。持ち時間の拡大分を新たな研究に費やせば、これまでのプロジェクトに影響することなく新しいことを始めることができます。

ただ、この理屈が通じるかどうかは微妙なところです。「私はこの研究費が採択されたら1.5倍働くから問題ない!」と言って却下された先生を知っています。

仕事が終わった、打ち切られた

研究期間の最終年度などの場合、研究が当初の計画を上回るペースで進んだため、(申請した研究計画の範囲では)することが無くなったという状況が生まれます。もしくは、ステージゲートに引っかかって打ち切られた状況もあり得ます。これらの場合は、仕事量そのものが減るのでエフォートを下げることは当然だと言えるでしょう。

エフォートは後で減らせる

現在のシステムではエフォートは研究に対する「熱意」であり、特に申請時に重視されます(採否に直接は関係ないにせよ)。その一方で、研究費獲得以後のエフォートについてはあまり重視されていませんので、エフォートを引き下げる申請はほとんどの場合で認められると思います。40%→5%とか80%→40%といった例も見たことがあります。エフォートは不足しがちですので、効率よく管理してください。

タイトルとURLをコピーしました