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知性を感じさせない文章の特徴

短い時間の間に審査員が見ているのは内容だけではありません。申請書から知性を感じることができなければ、審査員は決して高評価をつけることは無いでしょう。逆に、知性を感じさせる文章を書けたならば、あなたの申請内容についても審査員は高く評価してくれます。

では、どのような申請書であれば知性を感じさせることができるのでしょうか?残念ながら、これには明確な答えはありません。ただし、知性を感じさせない文章については明確な特徴があります(実際に知性があるかどうかは別の問題です)。申請書を書く経験が少ない学生などが持ってくる申請書は以下の特徴のいくつかを兼ね備えているケースがほとんどです。

1.取捨選択なく、そのまま書いている

これは話し言葉にも共通します。 相手構わず本音で話す人は、「素直」という評価はもらえるかもしれませんが、決して「知性がある」とは思われません。

申請書においても、「伝えるべきこと」と「伝えるべきでないこと」は明確にする必要があります。ページ数が制限されている中では全てを伝えることはできません。これまでの研究について一から十までダラダラと説明したり、研究計画の細かいところをやたら具体的に書いていたりする例が見受けられます。

また、フェアでありたいとの思いが強すぎて、ネガティブな結果をわざわざ羅列するのも考えものです。どんな申請書(研究)にも不都合な点は必ずあります。そして、完ぺきなものは存在しないことを審査員は知っていますので、申請者の方からわざわざ不都合な点をアピールする必要はありません。うまく使えば料理における苦味のようなアクセントとして使えなくはないですが、それは上級テクニックです。

これは嘘を付けと言っているわけではありません。カラスが白いか黒いか議論している時に、極稀にいる白いカラスのことにあえて言及する必要は無いと言っているのです。申請書においては、ばっさりとカラスは黒であると言い切って構いません。それをフェアでありたいという思いから、極稀に生じる白いカラスの話を始めてしまうと、論点がぼやけてしまい(短い申請書の紙面では)収拾がつかなくなってしまいます。

2.読み手のことを考えていない

あちこちで繰り返し述べているように、申請書は審査員に読んでもらい、内容を理解してもらうことで、初めて評価のスタートラインに立てます。申請書に限らず、文章を書くことは、読み手とのコミュニケーションを図ることに他なりません。

知性のある人とは、見えない読み手を想像し、配慮することができる人です。「分野外の審査員でも内容を理解できるようにする」や「読みやすい申請書にする」といった本サイトで紹介している工夫の大半はここに集約されます。

審査員のことを考えずに自分の主張をくり返すだけでは、審査員は退屈してしまいますし、説得力にも欠けます。たとえば研究の特色において、「〇〇〇の研究はこれまで誰も行ってこなかった。本研究はこの点を明らかにするという点で特色がある。」のように書いてしまう場合を考えてみましょう。審査員の立場からすれば、「なぜこれまで誰も○○○研究を行ってこなかったのか、あるいは、行ったのに成功していなかった」や「なぜ申請者なら、その問題を解決できるのか」と言った審査員が当然思うであろう疑問に先回りし、見えない審査員と対話できるかどうかは、あなたの知性を知るための良い試金石となります。

3.何を伝えたいのかわからない

知性が感じられない文章は、何を伝えたいのかがびっくりするほど分かりません。そこまで極端ではないにしても、こちらがすごく頑張って一歩どころか百歩ほど歩み寄ってようやく「きっとこう言いたいんだろうな」と推察できるような文章を書いてくる人はすごく多いです。なぜこんなことが起きるのかというと、文章の目的を明確にしていないからです。

話題があっちにいったりこっちにいったりして、結局何が言いたいかわからない文章は読み手をイライラさせます。学振や科研費の申請書は「背景と問い」「研究目的」など書くべき項目が具体的に指定されていますので、それぞれの項目で何を書くべきかをしっかりと理解し、内容を整理したうえで書き始めることで迷走は簡単に避けられます。

4.結論があいまい

審査員は忙しく、あなたの研究にそれほど興味が有るわけでもありません。この大前提を理解していないために、結論がなかなか出てこず審査員をイライラさせる申請書があります。これもまた知性を感じさせない文章と言えるでしょう。

「研究目的は○○○である。」、「○○○を特色とする。」のように聞かれていることに対して直接的に答えなさいというアドバイスはここにかかってきます。また、結論を一番最初にもってくるべきだというアドバイス(私はこれを推奨しませんが)も、ややもすればあいまいになりがちな結論を明確にするための戦略ととらえることができます。

5.やたら難しい言葉や難解な表現を使う

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

これは日本国憲法の前文です。暗記した方も多いのではないでしょうか。憲法という格式の高い文章で、戦後すぐに作られたという背景を考慮すれば許されるのかもしれませんが、とにかく理解しづらいです。

申請書でもやたらと小難しい言葉や難解な表現・大仰な言い回しを使う方がいますが、審査員に伝える気が無いと思われても仕方がありません。こうした書き方をする人は、自分(あるいは自分の文章)を格調高く見せたい、もしくは単純に知識をひけらかしたい、など本質ではない部分を重要視してしまっています。

また、普段使い慣れていないために、言葉の意味を間違えて使っているせいで意味が良くわからないケースも見受けられます。申請書は審査員に理解してもらって始めて価値があります。審査員が理解できない申請書には価値はありません。申請書だからといって気張る必要はないので、伝わる文章を書くことに全力を挙げてください。

6.ちょいちょい、くだけた表現が混じる

その一方で、口語が混じってくるのも知性を感じさせない文章の特徴です。「結果がズレる」や「頑張る」、「ということがわかった。」、「〜するのか観察したい。」のようなくだけた表現が出てくると、審査員はずっこけてしまいます。

どんなに素晴らしい内容であっても、適切な言葉を適切に用いていない申請書はどうしても割り引いてい読んでしまいます。内容と書き方は別物なのですが、審査員も人間です。内容だけを評価することは難しく、他の様々な要素が持つ印象にどうしても引っ張られてしまいます。

7.書いた文章を推敲しない

申請書は口頭発表と異なり、何度でも書き直せるというメリットがあるにもかかわらず、これまでに見てきたようなマズイ文章をしばしば書きます。これは単純に、文章を推敲していないからです。あるいは読み返しすらしていないのかもしれません。

しかし考えても見てください、川端康成や夏目漱石ですら推敲を繰り返しているのです、なぜあなたなら大した推敲もせずに良い申請書が書けると考えるのでしょうか?

時間が無いのを言い訳にしてはいけません。申請書の締切など、とうの昔に発表されていました。ギリギリまで着手しなかったのはあなたの怠慢あるいは自信過剰のせいです。忙しくなることを見越して早めに着手し、推敲の時間を取ることは絶対です。

「本当にベストを尽くしたのか」これは常に意識してください。何時間も机にかじり付いていることがベストでない場合もあります。睡眠・食事・リフレッシュ全てを含めて総合的に考え、申請書のためにベストを尽くしてください。それだけの価値はあるはずです。

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