申請書で書けるスペースは決して大きくなく、内容を整理しないと収まりません。無理に収めようと小さいフォントや狭い行間にすると、読みにくくなり、逆効果です。迷ったら11pt 、行間[固定値]17-18pt。これを前提に紙面に収まるよう内容を見直して下さい。
また、多少はみ出るくらいであれば、いくらでも調整が効きますので、ぴったりに収めることは実はそれほど難しくありません。
#科研費のコツ 108
— 科研費.com (@kakenhi_com) April 18, 2024
何度も書き足していくと、どうしても文章は肥大化し長くなりがちです。
いくつかのテクニックは#科研費のコツ101でもお示ししていますが、ここではもっと本質的に短くする方法を教えちゃいます。https://t.co/3A8dFrpTuZ pic.twitter.com/iFUsBdhmUf
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ヒント:小文字のLではなく1です。
指定スペースに収めて書くためのコツ
まず大前提として、指定されたページ数の超過は絶対にダメです。また、指定された分量の8割以下だとそれもまた問題です(普通は足りないくらいなのでよっぽど書くことが無い、あるいは、熱意が無いと判断され、印象は良くない)。
手順1 申請書に書くことのできる材料を十分に用意する
人によって様々なスタイルがあります。たとえば、もっとも書きたい項目から逆算するように背景を書いていく方法があります。ゴールから書くので迷子になりようがなく、自然に話をつなげられる点で優れていますが、常に部分と全体を把握する必要があり上級者向きの方法です。
慣れないうちは、マインドマップツール、付箋、ノートなどを活用してあらかじめ書くことを列挙し、後で内容ごとに再整理するようにします。手軽ですが非常に優秀な方法です。この方法では、まず書きたい内容を多めに挙げ、+1枚程度は余裕で書けるくらいの材料を用意しておく必要があります。だいきなりピッタリに収めようとすると内容が薄くなってしまいます。
手順2 内容を整理する
思いつくままに書いた文章は統制がとれておらず、主張のロジックも甘い場合がほとんどです。聞かれている内容に沿っているか、同じ内容を別の場所で繰り返していないか(そのような余裕がない場合がほとんどです)、論の展開に無理はないか、など内容を整理しつつ統廃合していってください。
この過程により、多かった内容は分量以下に減ります。
手順3 肉付けする
手順2の作業を終えた直後は、いわば、骨格だけの状態です。まずはその状態で全体を申請書のスペースに落とし込んでから、ページの切れ目や残りの行数などを見ながら肉付けしていきます。必要最低限の情報は手順2で既に網羅されているはずですから、ここでの作業は枠にぴったり収めるための補助的な役割です。
- あと数行足したり、削ったりできればページをまたぐことなくぴったり収まる
- 1,2行書き足すことで、根拠がさらに強くなる、より審査員にインパクトを与えられる
- 具体的な予備データや根拠を書き足す
など、を通じて申請書の内容に説得力をもたせ、全体の構造を整えます。これらの操作により、その申請書のスペースにぴったりの申請書になります。ページ区切りや図の配置などが全てその申請書に向けて最適化されているので、他の申請書に転用する場合は手順3からまたやり直すことになります。
この段階で数文字~1行程度はみ出ているようであっても気にせず手順4に進みます。
手順4 あと少しを詰め込むテクニック
あと少し(数文字~1行程度)であれば以下のテクニックを駆使することで比較的簡単に、ページ内に押し込むことが可能です。
テクニック1 文章推敲
同じ内容であっても様々な表現が可能です。まずは表現を変えることでもっと短くできないかを考えます。
この問題を解決する方法はいまだに明らかにはなっていない。
この問題の解決方法はいまだに不明である。
こうした表現の問題以前に、内容的にもっとすっきりと表現できる場合も多く、テクニック2以降を安易に試さずに、極力ここで解決することが望ましいです。
テクニック2 図の調整
文章よりも図の方がサイズに融通が利きます。図の余白や図の形、グラフやイラストの大きさなどを見直して、それらが本当に「これ以上何を改変しても伝わらなくなる」ギリギリを攻めていることを確認してください。大抵の場合、図中文字等を小さくせず、また情報量を落とさずとも、80%くらいのサイズまでなら縮小可能だと思います。
本文は十分に推敲しているが、図は別扱いというのではバランスが悪いので、図についても作り直すことも含めて徹底的に見直してください。
テクニック3 文字間調整
行頭・行末を調節するで説明したように、文字間を調整することで数文字であれば簡単に前の行に押し込むことが可能です。申請書全体を見て、数文字だけはみ出しているせいで1行余計に使ってしまっている箇所が無いかを探してみてください。運よく見つかれば儲けものです。文字間を最大0.2ptまで詰めることが可能です。
まずは数行文まるごと0.1-0.2pt詰めて見て、目論見通り1行削れるかを確かめます。1行削れることがわかったら、次にどの部分が詰まったために1行の削減に至ったのかを突き止めます。数行分すべてが1行の削減に貢献することはなく、実際には特定の1‐2行の文字間を詰めるだけで十分です。0.2ptまでならほとんど気にならないとはいえ、文字間を詰めると若干ですが読みづらくなるため、文字間を詰めずに済むのであればそうしたいところです。影響を最小限にするためにもピンポイントで済むように微調整します。
テクニック4 行間調整
テクニック1-3で詰め切れないのであれば、次に 行間を調節する ことを試みます。何度か説明しているように、当サイトの推奨はフォントサイズ11ptに対して行間[固定値]17-18ptです。ですが、収まらないのであれば仕方がありません。17pt→16.8pt→16.5ptのように行間を徐々に減らしていき、収まるかを確認します。1-3行程度であればそれほど行間を詰めずとも収められるでしょう。
行間を16.5pt以下にしないと収まらない場合は再度テクニック1,2を確認する方がよいでしょう。行間を詰めることに対しては最後まで保守的であるべきです。