申請書において文献を引用することで過去の知見に基づいた研究計画であり、独りよがりではないことをアピールできる一方で、多すぎる引用文献はスペースを消費し黙読の流れを阻害します。そのため、文献は多すぎても少なすぎてもいけません。
文献の引用スタイルでは主に引用文献のスタイルについて説明しましたが、どのような文献をどの程度引用すれば良いのでしょうか?
#科研費のコツ 95
— 科研費.com (@kakenhi_com) April 5, 2024
申請書の限られたスペースに何十もの文献は引用できません。
審査員はまず原著論文を見ないので、これまでの研究に基づいた独りよがりではない研究計画であること、本研究に関連して申請者が貢献してきたことを示す文献を引用すれば十分でしょう。https://t.co/ujqYwT541M pic.twitter.com/7vk6Xxyxv5
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ヒント:小文字のLではなく1です。
自分の研究の引用は50%を超えない
「申請者の研究は独自性が高いので、申請者自身の研究以外の関連研究は存在しない。」と主張して、引用文献を自分のこれまでの研究ばかりにする人がいますが、これは以下の理由から良くありません。
- 全く過去の研究を参考にしないことはあり得ず、単に申請者の視野が極端に狭く勉強不足であることをアピールする結果になっているから
- 他人の研究に敬意を払わない傲慢な姿勢は、研究者の態度として適切ではないから
研究とはそもそも、これまでになされていないことをするものである以上、関連する研究の範囲を限定していけば、関連研究が存在しないのは当然です。しかし、こうした「関連研究は存在しない」という主張は「それは科学者の態度としてどうなの?」という話もさることながら、全体の中でのこの研究をどう位置づけているのかがあいまいになるというデメリットがあります。
他人の研究の引用文献という形で、これまでに何がわかっていて、どのような主張がされてきたのかを紹介することによって初めて、そうした主張が申請者の一方的な主張ではないことが示されます。これは自分の研究を引用していてはできないことです。
引用文献は10を超えない
審査員はその分野の研究の状況を詳しく知りたいわけではありませんし、ましてや申請者の研究をより詳しく勉強したいとは思っていません。申請書において文献を引用する理由は
- 申請者が過去の研究を勉強しており、その分野に精通していることを示すため
- 申請者自身の研究が含まれており、申請者がその分野において一定の貢献を果たしてきたことを示すため
です。こうしたことから、審査員としては上記2点さえわかれば十分であり、引用文献数が多くてもプラス評価にはつながりません。引用文献は意外とスペースを使うので、多すぎる引用文献は他に書くべきことが書けなくなるという点で、むしろマイナスに作用します。