語尾は重要です。
結果に自信がある、と思わせるのはどっち?
A:XXXであると考えられる
B:XXXである
「申請者が」明らかにしたことをアピールするのはどっち?
A:XXXであることが明らかにされた
B:XXXであることを明らかにした
#科研費のコツ 92
— 科研費.com (@kakenhi_com) April 2, 2024
研究のことをもっとも理解している申請者が弱気な態度だと、審査する側も、どの程度の自信があってそう書いているのかがわからなくなります。
「絶対に嘘を書きたくない」という思いが強すぎると過度に自信なさげな文章になり、それは語尾に表れます。https://t.co/DqYyJN53dE pic.twitter.com/HRmw08i7dv
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ヒント:小文字のLではなく1です。
日本語の文末表現は、伝えたいニュアンスを大きく左右します。ご質問に基づいて、以下のように考えられます。
- 結果に自信があると思わせる表現:
- A「XXXであると考えられる」は、推測や可能性を示しており、確信に欠けるニュアンスがあります。
- B「XXXである」は、直接的で断定的な表現であり、より自信があると受け取られやすいです。
- 「申請者が」明らかにしたことをアピールする表現:
- A「XXXであることが明らかにされた」は、受動的な表現であり、誰が明らかにしたかが不明確です。
- B「XXXであることを明らかにした」は、能動的な表現であり、申請者自身が情報を明らかにしたことを強調しています。
したがって、自信を示したい場合は「B:XXXである」を、申請者の行動を強調したい場合は「B:XXXであることを明らかにした」を選ぶのが適切です。
日本語の語尾によってニュアンスが変わるいくつかの典型的なパターン
- 断定と推量
- 申請書では、自分の提案や状況の説明に自信がある場合、断定を使うと良いでしょう(例:「このプロジェクトは成功する」)。
- ただし、ある程度の予測や見込みを述べる場合は、推量を使用すると柔らかい印象になります(例:「このプロジェクトは成功するだろう」)。
- 過度に謙遜すると、非常に弱気な表現になり、自信がないと判断されかねません(例:「このプロジェクトは成功するかもしれない」)。
- 断定と提案
- 申請書で強い要求や必要性を伝える必要がある場合は、断定を使用します(例:「この点を改善する必要がある」)。
- より穏やかな提案や提言を行う場合は、提案を使うことも可能ですが、他人事のようなニュアンスにもなりかねないので注意が必要です(例:「(自分は特になにもしないけど)この点を改善することを提案します」)。
- 断定と可能性
- 確固たる計画や確信を伝えたい場合は、断定を使います。ただし、わからないから研究しているので、あまり断定しすぎると科学的態度に対する疑念が生じます。(例:「この方法が最も効果的である」)。
- 柔軟性を持たせたい場合や、他の可能性を排除しない場合は、可能性を示す表現を使うと良いでしょう。ただし、この場合でもあまりにも可能性を残し過ぎると申請者がどう考えているのかが見えづらくなります(例:「この方法が効果的な方法の一つかもしれない」)。
- 断定しすぎでない範囲でなるべく範囲を絞り申請者の主張をはっきりさせる必要があります(例:「この方法が最も効果的だと考えられる」「この方法をまず試すべきである」)。
- 確信と不確実性
- 強い確信を持っている場合は、確信を示す表現を使いますが、研究においてこのような主張が可能なシチュエーションはかなり限られています(例:「この計画は間違いなく成功する」)。
- 不確実性を残しつつも可能性を示したい場合は、不確実性を示す表現を用いると良いでしょう。単に可能性が高いと言うだけでなく、予備データや傍証、類推など、そう言える根拠を示すことが重要です(例:「この計画は成功する可能性が高い」)。
申請書では、これらのポイントを意識して、自分の意図や立場を正確に、かつ適切なトーンで伝えることが大切です。ニュアンスの違いが、申請の成否に影響を与えることもありますので、慎重に選んだ表現を用いることをお勧めします。
申請書における断定度が強いときと弱いときのメリットとデメリット
断定(確信)度が強い場合
- メリット
- 明確性と自信:確信度が高い表現は、提案や要求が明確で自信に満ちていると受け取られます。例えば、「このプロジェクトは業界に大きな影響を与える」と断言することで、計画への自信と明確なビジョンを示すことができます。
- 説得力:強い断定形を使用すると、その案件や提案に対する深い理解と強い信念を示し、読者を説得する効果があります。
- デメリット
- 柔軟性の欠如:あまりに断定的な表現は、他の意見や可能性を排除していると受け取られる可能性があります。不確実性が高い研究において、あるひとつのアイデアやアプローチに固執することは審査において不利に働くことがあります。
- 圧迫感:強い断定は、場合によっては圧迫感を与え、受け手に反発を引き起こす可能性があります。あたかも見てきたかのような主張は危険です。
断定(確信)度が弱い場合
- メリット
- 柔軟性と開放性:「このプロジェクトは成功する可能性が高い」といった表現は、柔軟性を持ち、他の意見や提案を受け入れる余地を示します。代替案を併せて示すことにより、申請者が柔軟な姿勢で研究に取り組むことをアピールすることができます。
- 婉曲性と敬意:ある仮説を否定したり、これまでの認識とは異なる主張をしたい場合に、相手の立場や意見に配慮しながら自分の見解を示すことができます。これは、関係者が多くさまざまな主張がある話題や高いリスクを伴う提案に適しています。
- デメリット
- 説得力の欠如:確信度が低いと、提案に自信がない、または計画が不確かであると受け取られる可能性があります。これは、申請者の意図とは異なる印象を与えることがあります。
- 明確性の不足:「成功するかもしれない」といった表現は、計画や見解が曖昧であると解釈されることがあり、申請の目的や内容が不明確になるリスクがあります。
結論
申請書においては、確信度の高さと低さを適切に使い分けることが重要で、その影響がもっとも現れるのが語尾です。提案の性質、受け手の性格や立場、文脈などを考慮して、最も効果的な表現を選ぶことが求められます。確信度が高い表現は、明確で説得力がありますが、時には柔軟性や受け手の感情を考慮する必要があります。一方で、確信度が低い表現は、協力や対話を促進するが、提案の説得力や明確性を損なう可能性があります。