その研究を一番知っている申請者が曖昧な表現だと、研究に対する自信のなさと受け取られかねません。 根拠のない強気表現は問題ですが、多くの場合は言いきった方が良い結果になります。
#科研費のコツ 90
— 科研費.com (@kakenhi_com) March 31, 2024
✖️ 本研究では〇〇を明らかにしてみたいと考えている
✖️ 〇〇をする機会があれば挑戦する
申請者がこのような弱気の態度だと、読んでいる側は一気に不安になります。ここは、
⭕️ 本研究では〇〇を明らかにする
⭕️ 〇〇に挑戦する
と言い切ってくださいhttps://t.co/6HvT1rWrzs pic.twitter.com/Bvn507RWtk
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ヒント:小文字のLではなく1です。
言い切るでは日本語表現の観点から言い切ることの重要性を説明したので、ここでは、内容の観点から言い切ることの重要性を説明します。
文構造の明快さ、審査のしやすさ
余計な言葉を足さずシンプルに言い切ることで、文は短くなり、文の構造が単純化されるので、わかりやすくなります。また、言い切ることによって、文の主張が明確になり、審査員は申請者の意図を速やかに把握することができます。
これらの主張は明快であり、製品の優れた点や利点、評価して欲しい重要な点が明確で、誤読の余地がありません。また、言い切った表現は情報の伝達速度を向上させ、審査員が文を読む時間を節約できます。
申請者の主張が明確になれば、審査員はそれに対して具体的な評価を行いやすくなります。
申請者の強い意志
言い切る表現は、申請者の確信を示すことにつながります。これは、審査員に対する信頼を築くのに役立ちます。
言い切ることで、製品Xに対する強い信頼感を示し、審査員にその価値を認識させることができます。また、言い切る表現は強い信念と決意の表明でもあり、申請者の強い意志を明確に伝えることができます。
言い切ることで説得力を強化することも可能です。ここでは具体的な数字あるいはそれを予想させる表現(業界水準を大きく超える)を用いて言い切ることで、プログラムYやテクノロジーZの利点を強調するとともに、申請者がこの話題に関して十分な知識や理解を持っている専門家であることを示すことができます。
これにより、審査員に対する信頼性を築くと共に、評価ポイントがその数字を達成できるかどうかに移り、審査員にとっても評価しやすくなります(参考:評価しやすいと良い評価になる傾向がある)。
言い切らず、回りくどい表現にはどんなものがあるか?
サービスAは顧客満足度を向上させる。
条件節を用いる
厳密に言えば、満足度が上がらない顧客もいるでしょうから、この表現はより正確です。しかし、ここまで言葉を尽くしてもメインメッセージは何も変わっておらず、むしろ、書き手がサービスAの価値をどこまで信じているのか、について疑念を抱かせる結果になっています。
仮定や推測を使う
条件節よりもさらに主張として弱く、「(申請者は全く自信がないが、もしかしたら)顧客満足度を向上させる」と主張しているように読めます。申請書に書かれた内容について、申請者以上に知っている人はいません。その当人がこのような態度では、この場合、審査員がサービスAの価値を評価することは難しいでしょう。
過剰な修飾語を使用する
主張を過度にすごそうに書いたり、この場合のように絶対に間違えたくないと過度に丁寧に書くと、どうしても余計な言葉が増えていきます。これでは書き手の主張が見えてきません。すごそうに見せたい、間違えたくない、というのは書き手側の都合であり、それを読み手にも求めるとおかしなことになります。
凄いかどうかを判断するのは読み手です。過剰な修飾語に頼るのではなく、事実から凄みが伝わるように書いてください。また、自信がないのであれば、主張を弱めたシンプルな表現にするか、主張を取り下げるにするかです。
比喩や抽象的な表現を使う
うまい表現と思われるかどうかは紙一重です。比喩により複雑な概念を理解しやすくなることはありますが、一般的には申請書の評価は具体性を重視するので、こうした表現は審査員の理解を妨げ、内容に対する評価に結びつきません。