略号表記は長い名称を短くすることで、スペースの削減や冗長性の解消に効果があります。しかし、医学系の人を中心に乱用するケースも見られ、本当にその略号が必要なのか?については立ち止まって考えるべきだと思います。

有料会員へのご招待

科研費.comは基本無料でご利用いただけますが、いくつかのコンテンツは有料会員専用になっています。

科研費.com 有料会員の特典

  • 申請書テンプレートのダウンロード
  • 100以上の#科研費のコツの解説ページへのアクセス
  • 混雑時の優先対応

料金

  • 999円/永年
  • 『ここはこう書け! いちばんわかりやすい科研費申請書の教科書』をご購入の方は有料会員登録の無料クーポンコードを進呈!
書籍の100ページ目の左上から見た時に、最初に登場する英単語〇〇〇〇〇〇(英数小文字)がクーポンコードです。
ヒント:小文字のLではなく1です。
無料会員登録時と同じメールアドレスをご登録ください。
¥999

略号表記とは

略号表記とは、文字や単語を短縮するために用いられる記号や短縮形のことを指します。これは、文書を短縮し、簡潔にするため、または繰り返しの多い単語やフレーズを省略するために使われます。略号表記は、特定の分野や文脈で広く認識されている形で行われることが多く、効率的なコミュニケーションをサポートします。

略号表記にはいくつかの形式があります:

頭字語(アクロニム): 各単語の初めの文字を取り、それらを連結して新しい単語を作成する。例:NASA(National Aeronautics and Space Administration、国立航空宇宙局)

頭文字語(イニシャリズム): 各単語の初めの文字を取り、それらを連結して新しい単語やフレーズを作成するが、頭字語とは異なり、個々の文字が別々に発音される。例:ATM (Automated Teller Machine、自動預け取り機)

省略形: 単語の一部を削除して短縮する。例:Dr. (Doctor)

記号: 特定の単語やフレーズを代表する記号。例:&(and)

これらの略号表記は、特定の分野や専門職でのコミュニケーションを効率的にし、時間とスペースを節約することを目的としています。また、略号表記は文書を整理し、読み手にとってわかりやすくする役割も果たします。

略号表記のメリット

効率と簡潔さ: 略号表記はテキストを簡潔にし、効率的にすることができます。長いタイトルや単語を短縮することで、情報を迅速かつ簡潔に伝えることができます。また、略号表記は、特定の分野や専門職でのコミュニケーションを助けることができます。専門家の間で共通の理解がある略号表記は、効率的で効果的なコミュニケーションを促進します。

スペースの節約: 申請書はスペースや文字数に制限がある場合がほとんどであり、略号表記は非常に有用です。

繰り返しの削減: 略号表記は、繰り返しの多い単語やフレーズを短縮するのに役立ちます。これにより、文書が冗長になるのを避けることができます。

ブランド認知の強化: 申請者自身が開発した方法やプラットフォームなどのの名前を短縮する略号表記は、ブランド認知(独自性)を強化し、記憶に残りやすくすることができます。例えば、「IBM」や「BMW」などは省略する前の名称よりも広く知られており、その略号表記は強力なブランド認知をもたらしています。

略号表記のデメリット

一方で、略号表記の使用にはいくつかのデメリットがあります。以下に主なものを挙げています。

理解の困難: 特定の略号表記が広く知られていない場合や、読者がその分野に精通していない場合、略号表記の意味を理解するのは困難である可能性があります。これはコミュニケーションの障壁を生じさせる可能性があります。分野外の審査員が略号表記を認識できるかどうかが判断の基準です。

曖昧さ: 略号表記は、異なる分野や文脈で異なる意味を持つことがあります。これは混乱や誤解を招く可能性があります。たとえばATMには「現金自動預け払い機」「圧力の単位」「アットザマネー」「ataxia telangiectasia mutated」「非同期転送モード」「対戦車ミサイル」…など複数の意味があります。

公式なコミュニケーションでの非適切さ: 略号表記は、公式なコミュニケーションや正式な文書では避けるべきである場合があります。これは、プロフェッショナルで明確なコミュニケーションを保つために重要です。

略号表記を使用するかどうかの判断基準

略号表記を使うか使わないかを判断する際には、いくつかの要因を考慮する必要があります。以下にいくつかの主要な判断基準を挙げています。

審査員の知識レベル: 審査員が略号表記を理解できるかどうかを考慮することが重要です。専門的な分野や技術的な文脈で使用される略号は、分野外の審査員には理解されにくい可能性があります。

一般常識としての浸透度: DNAやRNA、GFPなどはもはや科学者であれば常識ですから、正式名称をわざわざ出す必要もなく、いきなり使い始めても全く問題がありません。

使用頻度とスペースの削減効果: 申請書において略号表記の大きなメリットの一つはスペースの削減効果です。せっかく略号表記にしたのに、申請書全体を通して2-3回しか使われていないのであれば、わかりにくくなるデメリットに対してのメリットが低すぎるので、略号表記しないことも積極的に考えるべきでしょう。
 また、馴染みの低い略号が複数、繰り返し使用されると、審査員はいちいちその意味を確認する必要があるため、審査員の負荷は非常に大きくなり評価は下がる傾向にあります。馴染みの低い略号表記は申請書のコアとなる2-3つの単語だけににとどめておき、それ以外のものは略号どころか登場させずに書けないかを真剣に考えるべきです。登場人物は少ないほど理解しやすいです。