人間の脳はすぐにさぼるので、良い申請書の条件は「頭を使わずとも理解できる」ことです。単純化の功罪はともかく、わかりやすい主張は響きます。
全ては読んでもらい・理解してもらうための工夫であり、そこが評価のスタート地点です。
#科研費のコツ 84
— 科研費.com (@kakenhi_com) March 25, 2024
深く考えずに読み進められる文章の誤りは気づきにくいものです。
それを逆手にとれば、
審査員の認知負荷を減らすことで、こちらの主張を額面通り受け取ってもらいやすくなります。
その意味でも、なるべくわかりやすい申請書を書くと良いでしょう。https://t.co/YVClD8CKIG pic.twitter.com/p4GX4iDqiO
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ヒント:小文字のLではなく1です。
審査員に頭を使わせずに理解させるためには要素の数を減らす
申請書に関する工夫はほぼこれに尽きます。
背景(Introduction)、手順(Method)は単純に
背景に、総説のような詳しいものを書く人がいます。審査員の仕事は申請書を評価すること、すなわちこれからの研究計画を評価することです。審査員は仕事として読むので、評価するために必要最低限の知識だけを欲しいと考えており、この分野について深く知りたいと思っているわけではありません。
実際、ほとんどの審査員は分野外ですので、詳しすぎる背景や詳しすぎる手順は不要であるばかりか、何が本当に大切なのかを見失わせてしまうことで、申請書が正しく評価されなかったり、貴重なスペースを無駄に使うために肝心の研究計画について十分に記載できなかったり、といった弊害が目につくようになります。
背景や手順を書く際には、この研究計画を80%理解する上で(100%を目指すのは実質不可能です)、最低限必要な要素は何かを念頭に書くことになります。
登場人物は少なく、文章の構造は単純に、主張は簡潔明瞭に
研究のアイデアや研究計画においても同様のことが言えます。複雑すぎる主張だと審査員はついていけません。実際には複雑な内容であっても、嘘にならない程度(計画の重要性・おもしろさが損なわれない程度)にデフォルメし、単純化した内容にのほうが受け入れられやすいです。
申請書の目的は、自分が書きたいことを書くことではなく、自分の研究の重要さを審査員に理解してもらい、正しく評価してもらうことです。相手に伝わらなければ意味がありませんし、相手が頑張って理解してくれようとすることを期待してはいけません。
「読みたくない審査員が適当に流し読みしても頭に入ってくるくらい単純な文章」であることを第一の目的として、様々な工夫を考えます。そのため、推敲時の思考は、「あれを書いてない、これも書かないと…」ではなく「これで伝わるかな?分野外の審査員に対しても重要性やおもしろさが正しく伝えられているかな?」です。
色数は少なく、フォントは美しく、装飾は控え、箇条書きは3つまで、図のサイズは揃える
これらの要素は申請書の見た目であり、内容ではありません。しかし、審査員も人間ですので、ごちゃごちゃしている申請書よりは美しく整った申請書を無意識で好みます。無意識の行為ですので、審査員自身も認識していないかもしれませんが、美しい申請書は確実に効果があります。
美しい図を用いて説明する、揃えられるところは揃える、文字装飾は極力減らすことが基本です。