超上級者は別として、一般に新語・造語・流行語は極力避けてください。読み手に伝わらないだけでなく、全く別の意味で捉えられてしまうかもしれません。そこで独自性を発揮する必要はありません。
#科研費のコツ 80
— 科研費.com (@kakenhi_com) March 21, 2024
難しい言葉を使ったから高尚な申請書だ、というわけではありません。実力以上に良く見せようとする申請書は逆効果になりがちです。
造語 論外
新語 新しければ伝わらず、一般化されれば陳腐になる
難読語 審査員に伝えようという意思が感じられないhttps://t.co/BZQhym1YdR pic.twitter.com/WrXQ4o7CvW
科研費.comは基本無料でご利用いただけますが、いくつかのコンテンツは有料会員専用になっています。
科研費.com 有料会員の特典
- 申請書テンプレートのダウンロード
- 100以上の#科研費のコツの解説ページへのアクセス
- 混雑時の優先対応
料金
- 999円/永年
- 『ここはこう書け! いちばんわかりやすい科研費申請書の教科書』をご購入の方は有料会員登録の無料クーポンコードを進呈!
ヒント:小文字のLではなく1です。
新語
研究界隈でも新しい用語が次々に登場し、なんてことのないことにも格好いい呼び名がついたりします。目新しい単語はまだ手垢がついておらず、なんだか凄そうに見えるので思わず使いたくなります。
しかし、新語は使うタイミングが非常に難しいです。
使うタイミングが早すぎると
誰も知りませんので、伝わりません。言葉はファッションと同じで、絶対的に優れているとか劣っているとかがわかりにくいので、言葉そのものよりも、誰によって使われているのか、とか、どれくらいの人が使っているのかといった周囲の状況がとても大切です。使う人が極端に少ないとそれほど魅力的には移りません。
使うタイミングが遅くなると
皆が使い始めるので手垢がついた言葉になり、新語に期待する新鮮さは一気になくなり、むしろ没個性・ありきたりの印象の方が強くなります。これも皆が着ている流行りの服はもはやオシャレ上級者には物足りなくなるように、ります。
このように、新語の旬は短く、申請書ごとに乗り換えるくらいのイメージになってしまいます。
造語
造語は新しい概念やアイデアを表現するために作られることが多いですが、もともと存在しない言葉であり、読み手に理解してもらうことが難しい言葉でもあります。
新しい概念やアイデアを伝えるために生み出される造語は少なく、ほとんどの場合は無知か音の響きだけで生み出されたものです。チェックしている時に少しでも怪しいと思っったら、必ず検索して、用例が十分にあるかを確認するようにしてください。
難読語
簡単に漢字に変換できるため、普通ならひらがなで書くところも漢字にできてしまいます。また、専門用語の中には読みや意味がわかりにくいものも多いため、注意が必要です。
申請書は審査員に読んでもらい、内容を評価してもらうために書くものです。難しい単語を用いることは、最初の読んでもらう段階でのハードルを無駄に高めてしまいます。
なぜ無くならないのか
一方で、こうした言葉はときに非常にキャッチーであり、「なんだか良くわからないけどすごそう」と思わせる力があることは確かです。
ジンクピリチオン効果
花王が日本で初めてジンクピリチオン配合シャンプーのメリットを発売したが、そのCMのキャッチコピー「ジンクピリチオン配合」によってジンクピリチオンについて何も知らない消費者が購入することにつながり、メリットはヒット商品となったとされる。
この事例から、小説家の清水義範が論考「インパクトの瞬間」の中で、ジンクピリチオン効果と命名し、「どのようなものかは分からないのに、その言葉の響きだけですごそうだ」と思ってしまう心理的な反応があると説明した。
ジンクピリチオン – Wikipedia
これを使った上級テクニックとして、大型研究費のタイトルやキャッチフレーズに、比較的新しい単語・用法・造語を採用し、新しい概念を表現することがあります。
ただし、これは研究の酸いも甘いも噛み分ける経験豊かな人たちが、あえてやっていることであり、個人研究の申請において同様の戦略を採用するメリットはほとんどありません。