この欄はかつては業績リストでしたが、より包括的に遂行力を評価するために現在の形になりました。 「〇〇〇した。」「〇〇〇だった。」 と事実を羅列するだけでは不十分で、それらが本研究を遂行するうえでどう役立つかを書かないと、研究遂行力を評価できません。
#科研費のコツ 64
— 科研費.com (@kakenhi_com) March 4, 2024
「だから、申請者には十分な研究遂行能力がある」
という主張に いかに説得力をもたせるかが
研究遂行能力を書く時のポイントです。
業績リストと遂行能力の証明のそれぞれに良い点があるので、うまく組み合わせましょう。https://t.co/rIAheGn2EO pic.twitter.com/LJssqsUafz
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ヒント:小文字のLではなく1です。
「今日は雨だった」「で?」
いきなり誰かに「今日は雨だった」と言われたとしましょう。この時にでてくる感想はせいぜい「はぁ、そうですね」とか「で?何が言いたいの?」とかだと思います。なぜ、こういったことになるのかと言えば、聞いている側かるすると、話し手の意図が全く見えてこないためです。なぜ、今日は雨だったという事実をわざわざ相手に伝えるのでしょう?
研究遂行力も同じで、「○○○で発表した」とだけ書かれても、審査員としては、「へぇ」という感想しか出てこず、ここでのお題である研究遂行力とどう結びつくかは見えてきません。おそらく、プレゼンテーション能力があると言いたいんだろうなと、予想しながら読みはしますが、もしそう言いたいのであれば書き手がそう伝えるべきであり、読み手には努力して意図を汲み取ってあげる義理はありません。
「今日は雨だったのに、実験したからすごい」
では、どうしたら良いのでしょうか?
答えは単純で、研究遂行力を示すエピソードとそれが持つ意味をセットで提示してあげることです。
「修士課程で論文を発表した」
→「修士課程で論文を発表したことは、申請者の高い研究遂行能力を示している」
「TOEIC900点をとった」
→「TOEIC900点をとっており、高い語学力を有している」
「同僚や共同研究者と積極的に連絡を取って研究を進めている」
→「申請者は主体的に研究を進めるため、~と積極的に連絡を取って研究を進めている」
このように、○○○は○○○を意味している、○○○を意図して○○○してきた。のように書くのが基本構文です。
「今日は雨だったのに、実験したからすごい。この継続する力で本研究も問題なく遂行できる。」
「事実とそれが何を意味するのか」をセットで書くだけでも悪くはないのですが、ここで本当に聞かれているのは遂行力、すなわち、本研究計画を遂行する力があるかどうか?です。
ですので、「これまでがこうだった」とか「こんなことをしてきた」のような過去の事実とそれが意味することを書いたとしても、聞かれていることに答えたことにはなっていません。
「修士課程で論文を発表した」
→「修士課程で論文を発表したことは、申請者の高い研究遂行能力を示している」
→「修士課程で論文を発表したことは、申請者の高い研究遂行能力を示している。だから本研究計画も、この研究遂行能力を生かすことで問題なく実施できる。」
「TOEIC900点をとった」
→「TOEIC900点をとっており、高い語学力を有している」
→「TOEIC900点をとっており、高い語学力を有していることから、国際共同研究でリーダーシップを発揮して研究を進めることが可能である(TOEICでそう言っていいかどうかはともかくとして)」
「同僚や共同研究者と積極的に連絡を取って研究を進めている」
→「申請者は主体的に研究を進めるため、~と積極的に連絡を取って研究を進めている」
→「申請者は主体的に研究を進めるため、~と積極的に連絡を取って研究を進めている。本研究は、これまでの研究をさらに発展させるものであり、引き続き主体的に研究に取り組む。」
このように、すべての説明は、「だから本研究計画も問題なく遂行可能である」につなげる必要があり、この主張に説得力があれば審査員は申請者の研究遂行能力を正しく評価してくれるはずです。