「応募者の研究遂行能力及び研究環境」には多様な形態で業績を記載できます。
しかし、研究業績の羅列や「〇〇〇をしてきた。」「〇〇〇を受賞した。」と書くだけでは不十分です。 全てのエピソードは「だから、申請者は本研究を十分に遂行できる。」につなげる必要があります。
#科研費のコツ 63
— 科研費.com (@kakenhi_com) March 3, 2024
申請者の研究遂行能力を伝える際には、業績や経験をただ列挙するだけではなく、「なぜそれが研究遂行能力の証明となるのか」を具体的に説明することが必要です。
審査員に「だから何?」と言われないように業績や成果とその意味をセットで提示しましょう。https://t.co/pnXLY92HRk pic.twitter.com/YCMlGnj1w6
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研究遂行力を理解しよう
審査員は、申請者が言いたいことを時間かけて理解してあげよう、というモチベーションは持ち合わせていません。何が言いたいのかわからなければ、読み飛ばして次に行くだけです。
「研究遂行力」あるいは「研究遂行能力」はかつて研究業績欄であったこと、以下のような記述があることからもわかるように、ここで書いた内容は全て本研究計画の実行(実現)可能性を証明するためのものです。
応募者(研究代表者、研究分担者)の研究計画の実行可能性を示すため、(1)これまでの研究活動、(2)研究環境(研究遂行に必要な研究施設・設備・研究資料等を含む)について2頁以内で記述すること。
応募者の研究遂行能力及び研究環境の注意書き
1.研究業績(論文、著書、産業財産権、招待講演等)は、網羅的に記載するのではなく、本研究計画の実行可能性を説明する上で、その根拠となる文献等の主要なものを適宜記載すること。
応募者の研究遂行能力及び研究環境の留意事項
2.研究業績の記述に当たっては、当該研究業績を同定するに十分な情報を記載すること(例として、学術論文の場合は論文名、著者名、掲載誌名、巻号や頁等、発表年(西暦)、著書の場合はその書誌情報など)。
3.論文は、既に掲載されているもの又は掲載が確定しているものに限って記載すること。
だから何?
しかし、以下のような内容を「応募者の研究遂行能力及び研究環境」に書く人は少なくありません。
審査員は、他の人ではなく申請者こそが、この研究を遂行するのに相応しい人物なのか?を知りたいと考えています。
そうした中で「1990年に博士号を取った」「がん研究に取り組んできた」と書くことは審査員に対して何を伝えたいのでしょうか?「博士号すごい!きっとこの研究もうまくできるだろうから採用!」「がん研究!?唯一無二ですごいですね」と言ってもらえると本気で思っているのでしょうか。
また、Suzuki et al., Natureと業績リストだけを示すのも同様に何を言いたいのかわかりません。一般的に、Natureに掲載されることは過去の時点での研究はのレベルが非常に高かったことは想像できますが(書かれていないことを想像してあげる義理はありませんが)、ここで書かれている研究計画のすばらしさとは必ずしもリンクしていません。
何を示すにしても
- 〇〇〇である、だから、本研究もうまくいく(だろう)。
- だから、申請者には高い研究能力がある。
- 〇〇〇してきた。この知見は本研究計画の立案にも活かされている。
- 〇〇〇を明らかにした。この際に用いた技術は本研究でも使うため本研究も同様に十分解析可能である。
のように、これまでの研究が本研究計画の立案や遂行に活かされており、だから本研究は十分に遂行可能だ、申請者には十分な能力があるというような内容にしてください。