研究計画は申請書の本体であり、これが貧弱だと台無しです。
分量:論文を読み、仕事をまとめる上で必要な研究量を把握する。
厚み:核心となる主張・アイデアに根拠はありますか?
リスク:うまく行かないことを前提にした現実的な計画を立てる。
これらのそれぞれについて、キチンと考え、具体性をもった提案が求められています。
#科研費のコツ 52
— 科研費.com (@kakenhi_com) February 21, 2024
「本研究では〇〇〇の関係を解析する」
のような研究計画では、結局のところ何をするのかよくわかりません。
このように、"ごまかした" 研究計画では審査員の評価につながらず、それならば別のことを書いておいた方がまだましです。https://t.co/INihtt1Wkt pic.twitter.com/dDxw8HNtha
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ヒント:小文字のLではなく1です。
研究計画の作成において、具体性は極めて重要です。あいまいな計画では、申請書の信頼性や説得力が低下し、審査員に研究の価値を十分に伝えることができません。
具体性に欠ける研究計画とはどんなものか
目標・方法の不明瞭さ
この文では、「いくつかの要因」という表現があいまいで、どの要因に焦点を当てるのか、なぜそれらが重要なのかが不明確です。
「最新の技術」という表現は非常に広範であり、どの技術を使用し、それが研究目的にどのように貢献するのかが示されていません。
実現可能性の不確実さ
どのような結果を期待しているのか、そのためにどのような手順を踏むのかが具体的に示されていないため、実現可能性が疑われます。
予備調査の欠如
どの研究を基にしているのか、新しい理論が何であるかが明確でなく、予備調査の成果やその理論の概要が示されていません。
予備調査が不足しており、車輪の再発明のような研究になっている申請書も時々見かけます。審査員が気づかなければ良いという問題ではありませんし、発覚した場合には採択の可能性は絶望的です。
リスク評価の不足
具体的なリスクやそれに対する対策が示されておらず、リスク管理の計画が不明瞭です。
その方法ではうまく行かない可能性や、前提が間違っている可能性を考慮しておらず、リスク評価が甘いと判断せざるをえない申請書も多いです。全てに事細かに対応する必要はありませんが、鍵となる部分については、適切にリスクを評価し対応する必要があります。
これらの例文は、研究計画における具体性の欠如が、計画の説得力や信頼性にどのように影響を与えるかを示しています。研究計画を書く際には、これらの種類のあいまいさを避け、具体的で詳細な情報を提供することが重要です。
具体性のある研究計画のコツ 分量
研究計画の「分量」が不足している場合、それは研究の内容や深さが充分に展開されていないという印象を与えかねません。具体的には、以下の点に注意することが重要です。
- 研究内容の充実:
- 研究計画では、単に方法論(Method)の説明にとどまらず、研究の目的、背景、意義、目指す成果について詳細に記述する必要があります。
- 例えば、単に「〇〇〇の分析を行う」と記述するのではなく、「〇〇〇の分析を通じて、△△△の理解を深め、◇◇◇への影響を検証する」といった具体的な目的や成果を示すことが求められます。
- 研究の範囲と深さ:
- 分量が十分であるとは、研究の範囲が適切に設定され、かつ、その範囲内で研究が深く掘り下げられていることを意味します。
- たとえば、ある特定の現象について、その原因、影響、対策など多角的な視点から分析し、それぞれの点について充分な説明やデータを提供することが重要です。
- 実験や調査の詳細:
- 方法論の部分では、使用する材料や手順だけでなく、それらが研究目的にどのように貢献するかを明確にすることが重要です。
- 例えば、特定の実験装置を使用する場合、その装置を選んだ理由、実験プロトコルの詳細、期待される結果とそれが研究全体にどのように寄与するかについて述べる必要があります。
- 目標設定の現実性:
- 目標設定が現実的でなければ、研究計画全体の信頼性が損なわれます。目標は達成可能で、かつ、十分なインパクトを持つものでなければなりません。
- 例えば、短期間で過度に野心的な目標を設定するのではなく、現実的な期間とリソースで達成可能な、かつ意義深い成果を目指すことが重要です。
分量が十分であることは、研究が十分に検討され、計画されていることを示します。これにより、研究計画の信頼性と実行可能性が高まり、申請書の説得力を大きく高めることができます。
具体性のある研究計画のコツ 厚み
研究計画における「厚み」とは、その計画がどれだけ根拠に基づき、深く考察されているかを示す要素です。以下の点に注意して、研究計画の「厚み」を確保することが重要です。
- 根拠に基づく主張:
- 研究計画では、提案されている仮説や方法論が十分な根拠に基づいていることが求められます。
- 例えば、以前の研究結果、予備実験のデータ、関連する理論やモデルからの洞察を引用し、なぜそのアプローチが有効だと考えられるのかを説明します。
- 多角的な視点:
- 研究計画は、単一の視点だけでなく、複数の角度からの考察を含めるべきです。
- これには、異なる理論的アプローチや、異なる方法論の可能性、研究の限界や代替案についての考察が含まれます。
- 予備調査とデータ:
- 充実した研究計画には、関連する予備調査や既存のデータに基づく分析が含まれていることが望ましいです。
- 例えば、研究テーマに関する既存の文献のレビュー、関連する現象の初期的なデータ分析などが含まれます。
- 論理的一貫性:
- 研究計画は、仮説から方法論、期待される結果まで、論理的に一貫した流れを持つ必要があります。
- このためには、研究の各ステップがどのように互いに関連し、全体の目標に貢献するかを明確にすることが重要です。
- 実現可能性と意義:
- 計画の「厚み」は、その実現可能性と研究の意義の両方を示す必要があります。
- 例えば、提案された研究がどのように現実的な範囲内で実行可能であり、同時に学術的、社会的、または技術的な意義を持つのかを説明します。
「厚み」のある研究計画は、その計画が深く考えられ、十分な根拠と考察に基づいていることを示します。これは、申請書全体の説得力と信頼性を高め、審査員に研究の価値と実行可能性を効果的に伝えることに寄与します。
具体性のある研究計画のコツ リスク
研究計画におけるリスク管理は、計画の現実性と実行可能性を示す重要な要素です。以下の点に注意してリスクを考慮することが重要です。
- リスクの特定:
- 研究計画では、予測可能なリスクを特定し、それらがプロジェクトにどのように影響を与える可能性があるかを明確にする必要があります。
- 例えば、実験材料の入手困難、技術的な障壁、データ収集の問題など、研究遂行に影響を与える可能性のある要因を挙げることができます。
- リスクの評価:
- 各リスクを評価し、それが発生した場合の研究への影響の程度を分析します。
- これには、リスクの発生確率と影響の両方を考慮することが含まれます。例えば、高確率で発生するが影響が軽微なリスクと、低確率だが影響が大きなリスクを区別することが重要です。
- リスク軽減計画:
- 特定されたリスクに対して、それらを軽減するための具体的な計画を立てます。
- 例えば、代替の実験材料や方法を検討する、追加の技術サポートを確保する、データ収集手法を多様化するなどの策を考えることができます。
- リスクの監視と対応:
- 研究過程でリスクの監視を継続し、計画に必要な調整を行うことが重要です。
- これには、リスクの状況を定期的に評価し、必要に応じて計画を修正する柔軟性を持つことが含まれます。
リスク管理の具体的な記述は、研究計画の現実性を示し、研究者が計画の可能な問題点を理解し、それに対処する準備ができていることを示します。これは、申請書全体の信頼性と説得力を高め、プロジェクトの成功の可能性を高めることに貢献します。