#科研費のコツ44 仮説ドリブンは独りよがり、データドリブンは手段の目的化になりがち

仮説を考える根拠となるデータが無いのに仮説を立てることは無意味ですし、 事前仮説が無いのにデータを取ったり解析することも無意味です。 それぞれの特性によって気を付けるポイントが異なります。

仮説ドリブンの注意点

仮説を立てるためには、新しいデータか新しいアイデアのどちらか(あるいは両方)が必要です。他の人も利用できるデータを他の人たちがやっているような方法で解析しても、新しい結果はほとんど出てこないでしょう。

申請書において仮説ドリブンの研究計画、すなわち、ある仮説の検証を研究目的とすることは極めてわかりやすいですが、立てられた仮説がどれくらい正しそうか・妥当そうかの判断の根拠は必要です。それが無いと

  • これまで〇〇〇がうまくいっていないのは、実験者の信心が不足していたせいであると考えた。
  • 日本人全員の毎朝の食事量は前日の読書量に相関すると考えた(ただし朝の食事量のデータも、読書量のデータもない)

のように、なぜそう考えたのかや、申請者自身もそうしたデータを知らない中でなぜそれがもっともありそうだと考えたのかについて審査員に説明できません。

データドリブンの注意点

「事前仮説は捏造の温床だ!」としてデータをもとに考えることこそが重要だ、みたいな風潮がありますが、純粋にデータだけを見ていても何も生まれません。

たとえば、円周率を眺めて何かの仮説が生まれるでしょうか?通常は生まれませんが、「円周率に出てくる数字の数は本当に偏りが無いのだろうか?」という事前の仮説があってはじめて、じゃあ本当はどうか確かめてみようと、具体的な行動に結びつきます。

このように、仮説もなしにデータから意味のあることを主張することは不可能であり、データドリブン信者は単に事前仮説を言語化する作業をサボっているだけであり、そういった人ですら仮説をもってデータを眺めています。

データドリブンを主体とする場合であっても事前仮説は必須なのです。

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