問題提起には様々なレベルがあります。

宇宙の果てがわからない → 本研究では宇宙の果て行くことを目的とする。

と書かれても、飛躍しすぎでついていけません。一つの申請書(研究計画)で解決できるのはもっと小さい問題です

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目的には複数のレベルがあるにもあるように、研究目的はどこまでも大きく、あるいはどこまでも細かく書くことが可能です。

研究の重要性をアピールしたいがために、ついつい人類全体の問題を解決する、とか、業界が抱える課題の完全解決みたいな大きな目的を書く人がいますが、そうしてしまうと、目的と実際の研究内容が一致せず、羊頭狗肉のような申請書になってしまいます。

これは、審査員の「裏切られた感」にもつながってしまい、高い評価を得ることは期待できません。実際にすること・したいことから逆算してちょうど良いサイズの研究目的を見つけてください。うまくいっていないほとんどの場合は大きな問題を本研究の目的にしすぎです。

本研究は、その大きな目的を達成するための一歩であり、それはもっと小さな目的です。

研究目的を定める際に考慮されるべきポイント

  1. 実現可能性:研究目的は、利用可能なリソース、時間、技術的な制約の中で実現可能であるべきです。
  2. 具体性:目的は具体的で明確でなければならず、研究のスコープと範囲を明示する必要があります。
  3. 関連性:目的は研究の中心となる問題や課題に直接関連しているべきです。これには、業界や学術界での重要性、社会的な意義などが含まれます。
  4. 段階的アプローチ:より大きな問題を解決するためには、小さな目的を段階的に達成していくアプローチが有効です。これにより、実現可能性と具体性を確保しつつ、最終的な大きな目的に向けて進むことができます。

研究目的を設定する際は、これらのポイントを心に留め、研究内容と目的が一致し、かつ実現可能で具体的な形で定義することが重要です。これにより、審査員に対して信頼性の高い、説得力のある申請を行うことが可能になります。

どうすればよいか(実際の手順)

ステップ 1: 研究の最終目標を定義する

  • 研究で達成したい具体的な成果や目標を明確にします。
  • 例えば、「特定の病気の治療法を開発する」、「特定の技術の効率を改善する」といった明確な目標を設定します。

ステップ 2: 必要な手段や方法を特定する

  • 目標達成に必要な手段や方法を特定します。
  • 実験、観察、理論的アプローチ、データ分析など、目標を達成するためにどのような研究手法が必要かを考えます。

ステップ 3: 逆算して中間目標を設定する

  • 最終目標に到達するための中間段階やステップを設定します。
  • 例えば、基礎研究、前臨床試験、臨床試験など、段階的なアプローチを計画します。

ステップ 4: 現状の問題点や課題を特定する

  • 現在の研究分野における未解決の問題や課題を特定します。
  • 既存の研究や文献をレビューし、知識のギャップや技術的な障壁を明らかにします。

ステップ 5: 問題提起を行う

  • ステップ4で特定した問題点や課題を、研究の出発点として提示します。
  • これらの問題が解決された場合に、どのように最終目標に近づけるかを説明します。

ステップ 6: 研究の意義と重要性を強調する

  • 研究が解決しようとしている問題の重要性や、その研究がもたらすであろう影響を強調します。
  • 例えば、社会的、経済的、技術的、または学術的な意義を明確にします。

ステップ 7: 研究計画の詳細を構築する

  • 問題提起に基づき、具体的な研究計画を構築します。
  • 実験デザイン、データ収集方法、分析手法などを詳細に計画します。

このアプローチにより、研究は具体的な目標に向けて効率的に進行し、より有意義な結果をもたらす可能性が高まります。また、研究の過程で得られた新たな知見が、さらに新しい問題提起や研究の方向性を生み出すこともあります。

実際の申請書での登場順は

ステップ6 この研究分野はこんなに重要だ
ステップ4 しかし、こんな現状があり、
ステップ5 具体的にこんな問題を抱えている
ステップ3 そのためにはこれをしたらよいのではないか
ステップ2 そこで本研究では、こんな方法により、
ステップ1 これを明らかにすることを目的とする。
ステップ7 具体的には…

という順になり、実際の思考とは逆ですね。