「独自である、独創的である」という主張は、そうではない大多数があって初めて成り立ちます。 そのため、「他は〇〇〇だけど、本研究は△△△だからすごい(独自である)」のように、比較が基本です。そのために、国内外の関連研究を書くのです。

「誰も研究していないから、本研究は独自である」というのは一見するとその通りなのですが、この場合の「独自」には優れている、有利であるのようなポジティブな意味が含まれています。これまでに誰もしていないことは、優れた研究の必要条件ですが、十分条件ではありません。

ですので「独自である」ではなく、「独自だからすごい」、につながるように書く必要があります。

独自だからすごい、と主張するためには

独自だからすごいと主張するためには、独自ではない、普通の、つまらない、ありふれた、何の工夫もない、その他大勢の研究が必要です。それが国内外におけるその他の研究です(正確には、申請者が着目する点においては不十分な研究ばかりである、という主張)。

それらと比較して、本研究は独自であり、すごいという主張につなげるためには、

  • これまでの研究はどこが・なぜまずかったのか、
  • それに対して本研究はどこが・なぜすごいのか、

を対比させながら書く必要があります。「独自である」、「すごい」はいずれも比較対象があってこそ成り立つ言説です。

独創性に関連して書くことのできる内容(例)

独創性や以下に挙げるその他の項目は全て、本研究計画の強みに該当します。本研究計画はインパクトが高く、実現可能性が高いことを主張するためには例えば以下のような内容が該当します。

独創性

申請者(あるいは申請者の研究室)だけが持つ、技術やアイデアなどは独創性に直結します。ただし、論文として公開されていて、他の人が容易に取り入れられるような物は独創的とは言えません。アイデアを組み合わせるなど何かしらの加工が必要になります。

他に知見の蓄積や、未発表データ、高い技術が必要なものなどは独創性に含めても良いでしょう(先進性でもいいかも)。

創造性

想像性とはこの研究が完成した時に周囲に与えるインパクトです。この研究が他の研究を創造するとか、他の研究者の想像力を掻き立てるといったイメージです。具体的には、(1)申請者の研究分野におけるこれからの研究にどのように影響するのか、(2)周辺関連分野に対して本研究成果はどう役立つのか(同じ考え方が適用できる、材料・方法・結果が使えるetc)、(3)社会に対してどう役立つのかなどです。

ただし、創造性は「この研究が成功すれば(仮定)、こうなるだろう(仮定)」と、仮定に仮定を重ねた単なる妄想・希望なので、あまり長く書いてもアピールにつながりません。大きな研究につながりうることだけを示せれば十分です。

先進性

独創的(オリジナリティ)ほど唯一無二ではないが、長い間扱ってきてよく知っている、研究計画に関連して材料や装置、方法、技術などが進んでおり、当該分野において最先端を走っているなどが該当します。

独創性よりは弱いですが、誰しもが独創的な材料を持っているわけではありませんので、先進性は大きな武器です。その分野のプロフェッショナルとして活動してきたことをアピールしましょう。

優位性

研究環境、予備データ、境界領域の知識など、想定される他の研究者よりも何かで優位であると主張できるならば、研究計画の実現可能性が高まりますので、その点で強みになります。

独自性

独自性には、独創性が持つような「すごい」というニュアンスは少なく、単に「他と違う」というニュアンスが強い言葉です。独自だからすごいという主張はそのままでは成立しません。

それでも、他と違うことは何か新しいことが生み出されることの期待につながりますので、独創性が書けない場合などには独自性を書くようにしましょう。ただし、創造性と同様、「この点で違うから、新しいものが生み出されるかもしれない(仮定)」という仮定が含まれ、論理的には必ずしもつながっていないので、書きすぎには注意です。