申請者が「私はこの研究をするのだ」と主張し、それを審査員に納得してもらうためには根拠が必要です。この際に、研究の重要性だけを主張するのは得策ではありません。いま、あなたが、その研究を扱わねばならない理由が伴わないと審査員を説得できません。
#科研費のコツ 31
— 科研費.com (@kakenhi_com) January 31, 2024
✅なぜ今なのか
→ 困っているから/良いタイミングだから
✅なぜ他の人ではなくあなたか
→ 独自性・優位性・先進性があるから
✅なぜこの問題を扱うべきか
→重要な問いに答えをだせるから
審査員に研究の価値を納得してもらうため、これらに答えましょう
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ヒント:小文字のLではなく1です。
などでも既にお話しましたが、これらの要素は非常に重要です。
今すぐ研究しないといけない弊害がある
今しかできないこと、今だからこそすべきことなど、今すぐ研究しないといけない理由はたくさんありますが、もっとも単純な理由としては、「何か具体的な問題があり、それに皆が困っているから」が挙げられます。みんなが困っていることですから、研究する理由としてはバッチリです。
「弊害」と聞くと何かすごく仰々しく感じますが、
といった内容でも構いません。「皆が困っている」のですから、すぐにでも解決すべきであるという主張はとても自然です。
問題解決型の研究ではない場合は「(これが成功すれば)皆が嬉しい」からと読み替える必要があります。「皆が嬉しい」のですから、すぐにでも実現すべきであると言えます。
他の人にはできないが申請者ならギリギリできる
研究テーマのところでも説明したように、誰でもできる研究であれば、申請者に任せる理由がありません。何か他の人とは違う優位性(独自性)を持つ必要があります。すでに予備データがあり、技術や材料の独自性が示されているのであれば書きやすいですが、そうでなくともアイデアが独自だからこの申請書には価値があると主張することは可能です。
いずれにしてもあなたでないといけない理由は、他の人と比べた時にあなたが持つ優位性に根拠を求める必要があり、この優位性のことを独自性と呼んでいます。
この研究を扱う理由=意義がある≒重要だから
以下のように研究をすべき理由にはトラップが多いです。本当に聞かれているのは、「あなたがその研究をしたとちて、私たちにどんなメリットがあるの?」です。こう考えると、以下の答えは答えになっていないことがわかるでしょう。
x 新しいから
研究とはそもそも新しいものですので、全ての研究は新しく、他ではなくこの研究をする理由としては弱いです。
x 重要な研究分野だから
研究分野の重要性はあなたの研究を実施すべき根拠としては弱いです。重要な研究分野でも研究にあたいしないようなテーマは山ほどあります。
x これまでやってきたテーマの続きだから
申請者としてはすでに重要性が認められたから気にはならないでしょうが、審査員は申請者の過去の研究を良く知っているわけではありません。過去にそうだったからといって、今回の研究もする価値があるかどうかは別の話です。
x 申請者が疑問に思ったから、興味をもったから
申請者がどう思っているかは研究する必要があるかにとっては、それほど重要ではありません。