「〇〇〇は研究されてこなかったので、本研究は独自である」のようなロジックを見ますが、〇〇〇に「青い目玉焼きが健康に与える影響」を入れてみると?? 未解決であることは、重要性や価値を担保するものではないことに注意!!
#科研費のコツ 27
— 科研費.com (@kakenhi_com) January 27, 2024
「〇〇〇は研究されていないので、それを研究する本研究は独自だ。」のような書き方を見ますが、未解決であることは研究の価値を担保するものではありません。
「〇〇〇の理由で重要な問題なのに未解決だから」と書くようにしましょう。https://t.co/4SXx53QWrH pic.twitter.com/2vFOM4KljM
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多くの人がやりがちなミス
まず、大前提として、全ての研究は未解決問題を扱っているはずです。だって、そうでしょう?すでに解決されていた問題をいまさら扱う意味はありません。世の中的には解決済みの問題であっても、申請者らは「実は違うんじゃないか?」とある根拠をもって考えたからこそ本研究において検証しようとしているのでしょう。ですので、その意味で全ての研究は未解決問題です。
ということは、
のような主張は全く意味が無いということです。研究として成立する全てのテーマは未解決問題であるため、「未解決である」という主張が審査において有利に働くことはありません。
この世には未解決問題はたくさんありますが、その中にはつまらない問題、研究するに値しない問題も多く含まれています。たとえば、「私の家の庭石の産地については研究されてこなかったので、本研究では産地を特定する」と言われても、素晴らしい!採択!とはなりえません。
ですので、未解決だから価値があるという考えを綺麗サッパリと捨て去ってください。
ではどうすればよいか
ポイントは「重要なのに」未解決問題であるという主張なのです。もっと言えば、「重要であり、すでに弊害があるのに」あるいは「重要であり、成功すればとてつもないインパクトをもたらすのに」未解決であるという主張が重要です。たとえば、宇宙の内部はいずれ完全な平衡状態になり宇宙の終焉が訪れると予想されていますが、今からその問題に取り組むことに価値はありません。私たちは近視眼的なので、現在問題が起こっていないと研究対象としては認識しづらいという性質があります。
問題解決型の基礎研究の場合はこの弊害を主張するのに苦労するかもしれませんが、たとえ苦しくても、何かしらの弊害が存在しないことには主張が成立しません。これは社会に対する弊害でなくても良く、当該研究分野における研究活動に対する弊害すなわち「XXXが未解明なため、XXXの全容は明らかになっておらず、XXXの利用は限定的なままである」みたいなものでも構いません。
さて話をもとに戻しましょう。このように「重要な問題であるにもかかわらず、未だに解決されていないからこそ、本研究は価値がある」という主張であれば、他よりも重要であり本研究をすべきである、という主張には十分な説得力が生まれます。
より正確には
質問 | 答え |
---|---|
なぜ、この問題に取り組む必要があるのか (重要性) | ・すでに問題が生じている ・近い将来に問題が生じる ・これが解決できればすごいことができる ・これまでの問題に完全決着をつけられる |
なぜ、いまこの問題に取り組む必要があるのか (必要性) | ・この問題解決に向けて知見を得た ・現在、研究に有利な状況が発生している |
なぜ、あなたがこの問題に取り組む必要があるのか (実施者の妥当性・研究遂行能力) | ・申請者ならこの問題を他の研究者よりもうまく解決できる ・申請者(所属研究室)には技術・材料・知見などの蓄積があり有利である ・独自のアイデアがある |
なぜ、この方法でなら解決できると考えるのか (研究方法の妥当性) | ・独自のアイデアがある ・すでに予備実験でうまく行きそうなことを確認している ・予備データがある |
など、申請者がこの研究をすべきだと主張するために、審査員を説得しないといけないポイントは他にもたくさんあり、重要性はそのうちのひとつにすぎません。それでも重要性は特に重要であり、これが無いと独りよがりの研究になってしまいます。重要性とは、自分だけでなく、他の人も重要だと思っていることの根拠でもあります。