みなさんがネタにする小泉構文は、実は申請書でも散見されます。 「こうしたことから〇〇〇をすることで〇〇〇を解決できると考えた。そこで本研究では〇〇〇をすることで〇〇〇を解決することを目的とする。」 ポイントは扱う問題のレベルです。

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ある問題を提起したあとは具体的な解決方法を提示するまでがセットです(提示できなら問題提起しない)。 なので「○○○が問題である。これに対して、○○○を○○○すれば○○○できると考えた。」と続けるのが正解です。

小泉構文とは

進次郎構文、小泉進次郎構文とも。何かを言っているようで、実質的に何も言っていない回答を揶揄したもの。

申請書では、以下のような形で頻出します。

  • ○○○が問題である。そこで本研究では、○○○を明らかにすることを目的とする。
  • ○○○が○○○であるかは不明であった。こうした未解決問題を扱うことが、本研究の特色である。

問題提起における小泉構文

以下のように、問題を指摘したのちに、それを繰り返してそれを目的とするタイプです。

○○○が問題である。だから本研究では、○○○を目的とする。


この場合、問題のレベルの意識が欠如していること、すなわち、問題の分解が十分なされていないことがマズイ理由です。前提として、

  • 問題の大きさは様々なであり、存在している問題をすべて扱うことはできない。
  • ある特定の問題に焦点を当てたとしても、「本研究」において扱えるのはその問題の一部分である。

があります。小泉元環境大臣が問題にしている気候変動は非常に大きな問題ですので、彼の在任中や数年では解決することが見込めません。その場合に、気候変動そのものを問題として指摘しても、では解決のために何をどうすればよいのかという視点が無いために、結局何も言っていないのと同じになってしまいます。彼が言うべきだったのは、

(気候変動サミットに参加して)今のままではいけないと思います。だからこそ、日本は年1%の二酸化炭素削減のための具体的なロードマップと関連法の整備にすぐにとりかかるべきです。

のように、気候変動という大きな問題を分解し、その実現のための課題である二酸化炭素の削減やそのさらに下位問題である削減のための関連法の整備、などについてです。

また、「がんは大きな問題である。」としてしまうと、その後、問題を分解したとしてもまだ個々の問題が大きく、ひとつの研究計画では扱いきれません。こうした場合にはがんそのもの問題は背景の冒頭で事実として提示するに留めて、もう少し小さな「乳がん治療において○○○は問題である」のような問題を提起し、その解決方法を具体的に計画として提案する必要があります。

特色における小泉構文

未解決問題を扱うから、すごい・独自である・特色である、と主張するタイプです。

○○○の研究はこれまでになされてこなかった。だから、それを実施する本研究は新しい。
この場合、この研究に特色があるとする理由が、単にこれまで研究されていない、というだけになっている点が問題です。

研究とは未解決なものを扱うものですので、単に研究されていないからというのは理由として不十分です。

○○○の研究は○○○を理解する上で重要であるにも関わらず△△△という理由から、これまでに十分な研究がなされてこなかった。これに対して、本研究では、申請者が開発した○○○を用いることで△△△の問題を解消し、初めて○○○の研究を行う点で独自である。

のように、具体的にどこがどう新しいかを書くようにしてください。