申請書において、どのレベルの話から説明を始めるかは審査員の知識レベルだけでなく、申請書の文量、最終的に説明したいことの複雑さによって変わります。

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申請書のわかりやすさには2つの要素があります。

  1. 審査員の知識レベルと説明を開始するレベルとのギャップが小さいこと
  2. 論の展開が急ではないこと

下のイラストで、1.ギャップは、台の高さと持っているはしごの高さが極端に違わないことに相当します。「どこから背景説明を始めるか?」というお題に対する答えとしては、「審査員の知識レベルに合わせて」が答えになります。2.論の展開は、坂の傾きぐあいに相当します。傾きが急(議論の展開が急)だと、理解しづらくなります。

説明をこう考えたときに要素は3つあります。

審査員の知識レベル

上のイラストで審査員の知識レベルすなわち前提知識は、はしごです。審査員は科学者ですから一定レベルの高さのはしごを持っており、ある程度の話であれば簡単に議論の台上にのぼることができます。

しかし、申請書で説明を始めるレベルがはしごよりも低すぎるのであれば(①、②、③)、審査員が持っている前提知識を活かすことができず、最終的に説明したいこととの高低差がきつくなってその後の坂道が急になってしまいます。また逆に説明を始めるレベルが高すぎると前提知識を使っても議論の台上にのぼることができず(⑦、⑧、⑨)、ついていけません。審査員の知識レベルを予想し適切な高さから議論を始める必要があります。

説明に使えるページ数

説明に使えるページ数が減れば、話の展開はどうしても急になり(①、④、⑦)、理解しづらくなります。もし十分な長さを使えるなら丁寧な議論になり、坂道も緩やかになり理解しやすくなります(③、⑥、⑨)。ただし申請書において十分なページ数があるケースは少ないでしょう。

説明したいことの複雑さ

上のイラストでは説明したいことの複雑さは一定にしていますが、お気づきのように、申請書においては、審査員の知識レベルや説明に使えるページ数は事前に決まっており、申請者にはコントロールできません。

「説明をどこから始めるか」というお題からは逸れてしまいますが、坂の角度を緩やかにしようとするのであれば、説明したいことをシンプルにする以外の方法はありません。