極論を言えば、審査員はあなたの研究に興味を持っておらず、審査する上で必要最低限の情報だけを求めています。そうした読者に対して、審査に直接関係のないあれやこれやを伝えても消化不良を起こすだけです。申請書は論文や総説ではありませんので、審査員を教育してこの分野を完全に理解してもらった上で評価に臨んでもらおうという姿勢は大きなお世話です。
#科研費のコツ 23
— 科研費.com (@kakenhi_com) January 23, 2024
審査員はあなたの研究分野の専門家ではありませんし、時間も興味もないので、申請者の研究の細かい点までを知りたいとは考えていません。
そうした審査員に対して「完ぺきに理解してもらう」ため審査員を教育しようとしても、ほとんど無駄に終わります。https://t.co/fsWCcyE4Pb pic.twitter.com/NZSZRMDDLq
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ヒント:小文字のLではなく1です。
申請書は書くことそのものが目的ではなく、審査員に理解してもらい、高く評価してもらうことが目的です。そのためには、審査員との効果的にコミュニケーションを行う必要があります。審査員は時間が限られており、また専門外の分野に関する詳細な背景知識を持っていない可能性もあるため、評価に直結しない情報を過剰に提供することは効果的ではありません。
審査員は知識がない・興味がない・時間がない
すべての審査員が申請者の研究分野に深い知識を持っているわけではありません。むしろ、知っている審査員にあたることの方が珍しいとすら言えるでしょう。しかし、そうした分野外の専門家でない審査員であっても研究目的や重要性を理解できるようにすることは重要です。
本来であれば、最先端のことを知っている審査員が研究を評価するべきですが、研究分野は多岐にわたっており、そうした審査員を見つけることは現実的ではありません。「審査員はわかってない」と嘆くのではなく、わかってない審査員でも理解できる(少なくとも理解した気になれる)申請書を書くようにしましょう。
また、審査員は、仕事として専門分野外の申請書を読みます。自発的に専門分野の論文を読むのとはわけがちがいます。突き詰めてしまえば、申請書の内容に興味はありません。そうした申請書を読まされる審査員の気持ちに立てば、なるべくシンプルでわかりやすい申請書が好ましく、これは「教育してあげよう」という考え方とは対極にあるものです。
どうすればよいか
- 申請書に登場する要素の数を極力減らす。特に人名、書籍名、遺伝子・タンパク質名などの固有名詞や馴染みのない略号などの連発は理解を妨げる
- ただし書きを減らし、なるべくシンプルなストーリーにすることを心掛ける
- 審査員が研究方法や研究手順の詳細を理解し、その是非を評価するのは不可能だと割り切る。なので、この部分は研究計画が具体的であることさえ伝われば十分。むしろ、なぜこの研究が必要なのか、どこに強みがあるのか、どうなればこの研究は成功だと考えているのか、などを中心に説明する。
- 修士課程の学生が理解できるレベルにまでかみ砕く。