研究のモチベーションあるいは重要性の指摘は背景の重要なパートです。ここがうまく説明できないと以降の申請書を読んでもらえなくなります。

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ダメなパターンを見ていきましょう。

わかっていない/なされていないから

もっともよく見る例です。

〇〇〇についてはわかっておらず、〇〇〇を明らかにする必要がある。

のような、わかっていないからやる。あるいは、されていないからする。というパターンです。こうした書き方がダメな理由は、無数にあるわかっていないこと、されていないことの中から、この研究を選択した理由が不明だからです

たとえば、「ある疾患の治療法が確立されていないから、その確立を目指す。」とだけ書いてしまうと、他にも存在する治療法が未確立の疾患についてはどうなるんだ?という疑問が出てきます。治療法が確立されていないことだけが研究のモチベーションであるなら、他の疾患についても同様に研究すべきでしょう。…となってしまいます。

これまでに研究してきたから

申請者はこれまで〇〇〇について研究してきた。この研究を発展させるため、本研究では〇〇〇を明らかにする。

この場合も、研究を継続するべきかどうかの根拠が示されていません。ある大きな目的を達成する上で他の研究をするよりも今の研究を継続すべき理由が明確でないと、「なぜこの研究をするのか」の理由としては不十分です。

重要な研究分野だから

世界最大の死因は虚血性心疾患であり、全体の16%を占めて。2000年以降、死亡者数の最大増加はこの疾患によるものであり、2019年には200万人から890万人まで増加している。こうしたことから、本研究では虚血性心疾患の予防法を確立する。

「重要な研究分野だから、それにかかわる本研究を実施する必要がある」という主張が認められるのであれば、その分野における全ての研究は重要であり実施する必要があることになってしまいます。しかし、研究分野が重要であることと、申請者の研究を行わねばならないことは、別の話です。

重要な研究分野であってもくだらない研究はたくさんありますし、あなたの研究テーマでなく他の件人の研究テーマの方が良いのかもしれません。そうしたなかで、他の研究ではなく申請者の研究を実施すべきと言うのであれば、研究テーマの重要性だけでは不十分です。