申請書では、審査員にアイデアを伝え、理解してもらい、評価してもらう必要があります。しかし、このプロセスは審査員の知識レベルを見誤ってしまうとうまくいきません。どこまでを常識として説明を省略し、どこからを常識ではなく説明が必要とするかを理解しておいてください。
#科研費のコツ 21
— 科研費.com (@kakenhi_com) January 21, 2024
申請者にとっては常識でも、審査員にとって常識とは限りません。
審査員の知識レベルを把握し、簡単すぎず難しすぎず、評価しやすいレベルにすることが重要です。
専門的なことを少し知っている程度の大学院生でも理解できるくらいに簡潔に書きましょう。https://t.co/812foY2hsf pic.twitter.com/GiY3YclkkB
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同じ申請内容であっても、誰が審査するかによって、どういった説明がベストなのかは大きく異なります。「これくらい常識だろう」、「説明せずともわかるだろう」、「説明さえすれば理解してくれるだろう」と考え、失敗するケースのほとんどの場合、審査員像と何が評価されるのかを十分に理解していないことが原因です。
そして大抵の場合、修士課程の学生(最低限の基礎知識はあるが、専門的なことはそれほどわからない)に向けて説明するつもりで書くとうまくいきます。
審査員像と評価基準の推測
科研費や学振では過去の審査員は公開されていますし、その他の研究費についても審査員は公開されていることが多いです。そのため、そうした審査員の経歴や研究分野を調べることで審査員の知識レベルについておおよその推定ができます。
審査員の分野の範囲(どれくらい離れた分野の審査員がいるか)
大抵の場合、審査は複数人で行いますので、申請者の専門分野から離れた分野の審査員であっても理解できるように書く必要があります。その場合に、どれくらい基本的なところから説明するのか、どれくらいまで詳しく説明しても大丈夫なのか、を把握するためにもどういった人が審査員なのかについて、一度くらいは目を通しておくようにしましょう。
特に財団などの場合は研究者ですらない人が審査員に名を連ねていることもあります。そうした人は大抵の場合は強い発現をしないものですが、そうした人でもわかるように(少なくともわかった気になるように)書くことはとても重要です。
評価基準はどこにありそうか
学振や科研費のような自由なテーマで基礎研究を実施できる研究費以外にも、さまざまなタイプの研究費があります。評価基準は異なっていることも多いので、募集要項だけでなく、過去の審査講評や採択者リストなどを見て、どういう提案を求めているのかを理解しましょう。
- 分野や地域、男女比、年齢などのバランスを取りたいか
- 臨床や産業化など応用が見えていた方が良いのか
- 海外研究
- 他の助成金を取っているか。民間助成金団体の中には科研費から漏れたような提案を救い上げることを標榜するものもあります。また、助成金団体同士が連絡をとりあって、過度な集中にならないようにしているとの話も聞きます。
- 社会貢献をどれくらいしてきたか、する気があるか
いろいろな基準がありますので、求められている基準が予想できそうな場合はそれに沿って書くようにしましょう。
予想できないのであれば、とりあえず応募してみましょう。どこに評価基準があるのかわからないのですから、もしかしたらドンピシャかもしれません。
(過去にほぼ同じ内容で複数の助成金に応募した人がおり、だいたい10%程度の割合で採択されていました。)
審査員のなかに味方になってくれそうな人はいるか
合議制の審査が行われており、申請者の研究を良く知っている人が審査員だったり、すごく分野が近い審査員だったりする場合はチャンスです。その審査員が味方になってくれれば合議の段階で応援してもらえる可能性があります。
分野外の人に対してわかりやすく書くのは当然ですが、その味方になってくれそうな審査員に刺さるように書きましょう。