いきなり自分の研究の話から始めても、読み手は理解できません。また、この研究がどのように周囲に対して影響を与えるのかを示さないと意義が見えません。 広い背景から話を絞って具体的な目的へと誘導し、また話を広げて結果を一般化するのが理想的です。
#科研費のコツ 20
— 科研費.com (@kakenhi_com) January 20, 2024
論文と同様、申請書も「砂時計」の構造をとります
すなわち、
1⃣一般的な内容から書き始め、
2⃣本研究の背景へと徐々に話を限定し、
3⃣研究目的を1-2行で明確にしてから、
4⃣具体的な計画を多方面から書き、
5⃣この研究のインパクト、へと話を広げます。https://t.co/fL0mByRfQl pic.twitter.com/224mQnic8L
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読み手の理解レベルを推測する
申請書に限らず、文章には想定される読み手がいます。科研費、学振の場合は科学教育を十分に受けた研究者が審査員を務めていることがわかっています。
こうした状況で高校生レベルの「DNA」などを長々と説明しても紙面の無駄です。逆に、いきなり自分の研究の話を詳しくしても分野外の審査員にとっては何の話かわかりません。
「分野外の審査員」にとってどこから話を始めるべきかをしっかりと想定しましょう。自分の研究室の大学院生でもわかるくらいのレベルで書くと良いとよく言われますね。
研究目的に向けて話題を絞っていく
スタート地点が決まったら、いよいよ背景説明です。一般的な話から始めて、重要性を交えつつ、自然な流れで今回の研究計画の背景に(狭い背景)に持っていきます。そしてその狭い背景の中で、さらに具体的な問題を提示し、その一部を本研究で解決することを目的とする、という流れです。
こうした広いところから狭いところへと話を絞っていくのは説得の常套手段であり、論文でもよく見られます。理解できるところ、納得できるところから話を始め外堀をうめつつ核心に迫るこうした手法は砂時計にしばしば例えられます。砂時計の首の部分が研究目的・研究計画(もっとも具体的なところ)であるように書きましょう。
創造性で再び話を広げる
こうした文章の流れが砂時計と例えられる理由は目的・研究計画の先の展望にあります。この研究(計画)はある具体的な問題に答えを出そうとするものですが、この研究の意義はそれだけにとどまらずもっと色々なところに波及することが理想です。すなわち、砂時計のように広い背景から具体的な計画へと絞った後は、また広い展望へとつながっていくという構造です。
申請書の場合はまだ結果がありませんので、展望については「結果が予想通りに出たら、こうなるだろう」という、いわば仮定の上に仮定を重ねていることになりますので、それほど強いことは書けませんしそこまでスペースが用意されているわけではありません。とはいえ、この研究がどのような意義を持つのかについて語れるのは申請者だけなので、ここはぜひ語ってもらいたいところです。