「過去の」科研費の審査委員名簿は公開されています。
見るとわかるように、自分の専門分野ドンピシャの審査員はほとんどいません。 その書き方で、あの先生は本当に理解できると思いますか?
ひとつ、聞き手は完全に無知だと思え。
ひとつ、聞き手は高度の知性を持つと想定せよ。
この場合は、聞き手→読み手です。 説明されれば理解できるが、説明が無いと全くわからないということです。
#科研費のコツ 16
— 科研費.com (@kakenhi_com) January 16, 2024
審査員はあなたの分野の専門家ではありませんが、経験豊富な研究者です
そのため、審査員は
✅ 専門的なことを何も知らないが、
✅ 適切に説明されれば、理解できる
ものとして申請書を書きます
専門家に向けて専門的な内容を書く論文とは異なりますhttps://t.co/1tRR9l5Igw pic.twitter.com/1vYC3j0gm9
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上記のように出典にやや疑問が残りますが、言っていることはその通りです。申請書を審査員に理解してもらうという観点から、申請者は審査員の知識レベルと理解能力を考慮する必要があり、その点について解説します。
ひとつ、聞き手は完全に無知だと思え
これは、聴衆(この場合は審査員)はあなたの分野の専門家では無いことを指摘しています。すなわち、以下のような行為は審査員を置いてけぼりにしてしまい、適切な評価につながりません。
- 一般的な背景を書かずに、いきなり研究内容を書く
→ 審査員は、この研究がより広い研究分野のどこにどう位置づけられるものなのかが理解できません。 - 研究の進め方の細かい手順(Materials and Methodsのような)を書く
→ 細かすぎる実験手順は申請者自身は把握しておくべきですが、審査員が申請書を評価する上では不要な情報であり、分野外の審査員に伝えるべき情報であはありません。 - 専門用語を使いすぎる
→ 専門用語は複雑な概念を示すために有効な方法ですが、その分野に詳しくない審査員にとってなじみのない用語を連発されると理解が追い付きません。そもそも、申請書を評価する上で、そうした複雑な概念の理解は必須なのか?から問い直す必要があります。
審査員が申請者の分野について何でも知っているという前提のもとで説明しても伝わりません。知らないことを前提にした説明をする必要があります。
ひとつ、聞き手は高度の知性を持つと想定せよ
これは、一流の研究者である審査員は、審査員が背景知識を持っていなくても、適切に説明されればその内容を十分に理解する能力を持っていることを指摘しています。すなわち、審査員に対してあまりに基礎的なことを説明する必要はなく、論理的でありさえすればある程度駆け足の議論でも十分です。
- DNAとは何か、などあまりに基礎的なところから説明する。
→ 科研費や学振の場合、審査員は大学の教員であることがほとんどですので、それらを前提とした知識レベルを想定して説明を開始する必要があります。一方、民間財団の場合、財団関係者が審査員に名を連ねることもあります。そうした場合、審査員の興味は科学的な議論の正確さというよりは、それによってどんな未来が待っているのか、のような研究の成果に興味があることがあります。民間財団や応用色が強い研究費の場合は、審査員の知識や興味がどういう方向に向いているのかを想定しておきましょう。 - 明日は晴れる → 晴れると洗濯物が良く乾く → 明日は洗濯日和だ のような無駄に丁寧な議論を展開する。
→ 小学生でもわかるように説明すると議論が冗長になりいつまでたっても核心に近づけません。ほとんどの場合、審査員は大学の教員なのですから、明日は晴れるので洗濯日和だ。で十分であり、丁寧すぎる議論はかえって審査員の興味を失わせる原因になりかねません。
これらの視点は、話者が聞き手の知識レベルと理解能力を適切に評価し、それに応じて情報を伝える方法を調整するのに役立ちます。話者は、聞き手の理解を尊重し、同時に必要な背景情報と説明を提供することで、効果的なコミュニケーションを達成することができます。
審査員は何も知りませんが、説明されれば十分な理解力で言わんとしていることを理解できます。そのため、申請書を評価する上で必要十分な情報のみを提供するようにしましょう。多すぎると消化しきれませんし、少なすぎると理解できません。