「何をどうするか」を書くことはもちろん大切です。ある程度の具体性がないといけません。しかし、詳しすぎる説明は読み手を混乱させ、申請内容を大まかに理解する妨げになります。 詳しい≠わかりやすい、であることに注意!
#科研費のコツ 12
— 科研費.com (@kakenhi_com) January 12, 2024
審査員は必ずしも申請者の研究分野の専門家ではありません。
そのため、技術的な詳細を過度に説明するよりも、研究の目的、方法の概要、期待される成果を明確かつ簡潔に説明することが重要です。
審査員が評価するために必要な情報は何かを考えましょう。https://t.co/MLEG59RRKP pic.twitter.com/RQzrzZhn06
科研費.comは基本無料でご利用いただけますが、いくつかのコンテンツは有料会員専用になっています。
科研費.com 有料会員の特典
- 申請書テンプレートのダウンロード
- 100以上の#科研費のコツの解説ページへのアクセス
- 混雑時の優先対応
料金
- 999円/永年
- 『ここはこう書け! いちばんわかりやすい科研費申請書の教科書』をご購入の方は有料会員登録の無料クーポンコードを進呈!
ヒント:小文字のLではなく1です。
分野外の審査員に多すぎる情報を渡すと、本当に重要なことを見失わせる可能性があり、逆効果です。そもそも、審査員はあなたの研究分野を詳しく知りたいとは思っていません。
×の解説
会社名、装置名、反応温度や時間などは、本研究計画を理解する上では重要な情報ではありません。分野外の審査員が、「30℃!素晴らしい!採用!」あるいは「2時間とはけしからん!1時間59分であるべきだ。不採用!」とコメントすると思いますか?せいぜい「申請者は専門家なのだから、きっと適切な方法で解析するのだろう」という程度の理解です。
そのため、詳しく書くことが申請書の評価に対してプラスに働いていません。書いても書かなくても良いのであれば、あえて省略することで全体をすっきりさせ、他に書くべきことに紙面を利用する方が良いでしょう。
こうした理由から、「何を・どうする」といったMaterials &Methods(手順)について詳しく書いても申請書の評価にはつながりにくく、むしろ冗長な印象を与えてマイナスの効果までありえます。
〇の解説
専門家ではない審査員にとって、「何を・どうする」といった「材料と方法」は評価しづらい一方で、以下の点は評価可能です
- 何が明らかになればこの研究は成功したと考えるのか
- 研究目的を達せするために、なぜそれをしなければならないのか
- その解析結果はどのような意味を持ちうるのか
- これをするこで明らかになることは、研究目的のどの部分をどのように解決することにつながるのか
特に、研究のゴール(何が明らかになればこの研究は成功したと考えるのか)をどこに設定するかは申請者自身です。審査員が評価できるのは、そのゴール設定が適切か(目標が小さすぎないか、過大すぎないか)やそこに至るまでの道筋は適切か(ハイリスクすぎないか、プランBはあるか、研究実績(研究遂行能力)は十分か)などです。
審査員の理解を助けるために必要な情報は何か、どうすれば評価されやすいか(審査員は評価できるポイントを探している)を考え、適切な情報のみを与える、という姿勢が重要です。
どんなにすごい研究内容であっても、その研究の意義が審査員に伝わらなければ意味がありません。申請書は、知識をひけらかす場でもなければ、論文のように材料・方法について説明する場でもありません。研究の背景やモチベーション、結果が持ちうる意味や意義、どのようにして設定したゴールにたどり着くつもりなのか、をわかりやすく丁寧に書いてください。
審査員が知りたいのはモチベーション+それを実現するアイデアと根拠+具体的な方法の概要
穴の掘ると言われただけでは、なぜ穴を掘らなければならないのか(モチベーション)、どうやって掘るのか(方法)について納得できません。
穴を掘る方法は説明されているが、ここまで詳しい説明は不要です。依然として、なぜ穴を掘らなければならないのか(モチベーション)がわからず、穴を掘ることに意義を見いだせません。
穴を掘るモチベーションはわかるものの、どうすればそこに到達できるのかについての方法の説明がないので、現実的に取り扱える問題なのかが不明であり、評価対象になりません。
モチベーション 徳川家に対する理解の深化(大金持ちになりたい)
具体的な方法の概要 最新の機械〇〇〇を用いたスピードアップ
アイデアの根拠 未解析の古文書
方法は具体的に書いてもしょうがないので、概要だけで十分です。