エフォートは評価基準に含まれていませんが、審査員がチェックすることは可能です。その際の印象は無意識レベルあるいはボーダーでの審査員の判断に影響を与える可能性は否めません。
#科研費のコツ 6
— 科研費.com (@kakenhi_com) January 6, 2024
人の意思決定プロセスは無意識や感情の影響をかなり受けます。
研究者の情熱をエフォートとして明確に示すことで、審査員の期待や興味を引いて、肯定的な印象につながります。
合議制の審査では、エフォートが話題になり結果に影響することも考えられますhttps://t.co/7yIKttWMnn pic.twitter.com/Bfa6YIBQZl
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ヒント:小文字のLではなく1です。
科研費においてエフォートの多少は直接の評価項目ではなく、過度の集中に該当するかどうかを判断する際の基準の一つという位置づけです(そしてほとんどの場合、過度の集中とはみなされない)。
「過度の集中」:
令和5(2023)年 度 科学研究費助成事業 基盤研究(B・C)(応募区分「一般」)、若手研究 審査の手引
同一の研究者又は研究グループ(以下「研究者等」という。)に当該年度に配分される研究費全体が、効果的、効率的に使用できる限度を超え、その研究期間内で使い切れないほどの状態であって、次のいずれかに該当する場合をいう。
① 研究者等の能力や研究方法等に照らして、過大な研究費が配分されている場合
② 当該研究課題に配分されるエフォート(研究者の全仕事時間に対する当該研究の実施に必要とする時間の配分割合(%))に比べ、過大な研究費が配分されている場合
③ 不必要に高額な研究設備の購入等を行う場合
④ その他これらに準ずる場合
こうしたことから、常識的なエフォートであれば全く問題は起きませんし、大きめのエフォートを書いたからといって評価されるわけでもありません(問題になるのは少なすぎるエフォートを書いた場合)。
科研費・学振以外のエフォート
具体的にはAMEDやさきがけ、その他、合議制の審査が行われる研究費において重要です。こうした合議制の審査プロセスを考えてみましょう。
- それぞれの審査委員が評定項目に評価(とその理由)を書き入れる。
- 結果を集計し、ある方法にしたがって合計点を算出する。
- 問題なく採択できる申請者については採択する。
- ボーダーライン近辺のグループについて議論し、採択者を決定する。
合議制の場合は、それぞれ進め方の違いはあれど、だいたいこんな感じです。エフォートが問題になるのは4のボーダーライン近辺のグループに該当した場合です。特に、
- 他に似たような点数を持つ候補者が複数いるが、全員は採択できない
- 平均で見れば少し低いが、特に良い評価をつけた審査員が1名あるいは複数いる
- 平均で見れば少し高いが、特に悪い評価をつけた審査員が1名あるいは複数いる
などの場合が議論の対象となります。この状況での審査の様子をもう少し考えてみましょう。
似たような点数を持つ候補者がいる場合、何を基準に順位をつけるのでしょうか?また評価が大きく分かれる場合、どちらの審査員の意見が採用されるのでしょうか?この際に、審査員はそれぞれ評価の理由を他の審査員に説明したうえで、再度、話し合いをします。
しかし、元が異なる研究内容なのですから、コーヒーとサバ味噌のどちらがおいしいか、みたいな話であり比較しながら議論することは困難です。こうした比較が難しいものに順位をつける際には共通する部分、すなわちエフォートにより注目が集まります。
他が全く同じであれば、より多くエフォートを費やし、より研究を真面目に進める方を採択しようという流れになることは十分に予想できます。学振や科研費は検討すべき課題が多すぎるのでここまでの丁寧な議論はおそらくなされないでしょうが、採択者が~20名程度であれば、それぞれの申請書が精査されるはずであり、その際にエフォートの多少は決め手になる可能性がありますので、可能であれば十分量のエフォートを書くようにしましょう。必要であれば採択後に減らすことも可能ですし。