修飾語の語順は非常に重要です。順番によっては読みやすさ(認知容易性)が大きく変わってしまいます。なるべく自然に読める順にすることが大原則です。細かな修飾語のルールは他の本やサイトに譲るおとして、ここでは基本となる4つのルールについてのみ紹介します。
修飾する言葉とされる言葉が離れすぎない
修飾する言葉は、修飾される言葉のすぐ前にもってくるのが文章の基本です。これらが離れすぎてしまうと、異なる解釈ができたり、一読して意味が取れなくなってしまい、読み手を混乱させることにつながります。
前の例では、AがBがCがとなっており、一読して文の構造を理解するのは不可能です。それを「Cが」⇔「死んだ現場に」、「Bが」⇔「いた」、「Aが」⇔「証言した」と近くに持っていくことでわかりやすくなりました。「私は」と「思った」は近づけても良いですが、特に申請書の場合は誰がというのは重要です。「私(申請者)」が行った実験であることをアピールするような場合がほとんどですので、そういった場合は一番前に持っていき、読点で区切るのが良いでしょう。
次の例はそれほど深刻では無いのですが、「オーストラリアの豊かな牧草で育ったジャージー牛」よりは「オーストラリアの豊かな牧草で育てられたジャージー牛」の方が意味の誤解が少ないでしょう。万が一「オーストラリア」⇔「ジャージー牛」と書くつもりの場合は(もしそのつもりで例文を書いているなら日本語能力に問題ありですが)、「豊かな牧草で育った、オーストラリアのジャージー牛」としなければいけません。
もういくつか例を見てみます。
修飾する言葉とされる言葉の間に読点を打つことで、両者のリンクを断ち切ることができま
節(述語を含む複文)を先に句(文節)を後に
前の例では、「白い」が「罫線に」かかっているように読めてしまうため、誤解を招きやすくなっています。後の例では「ゆっくり」や「前を向いて」が「止まらずに」にかかることで誤解を招きやすくなっています。
つまり、節と句を同時に含む場合、節を先に持ってくることで修飾する言葉とされる言葉の関係をはっきりさせることができます。
長い修飾語ほど先にくる
もちろん状況によっては例外もありますが、このルールが強力な点は単なる文字列の長さによって読みやすい語順が決まってしまうことにあります。これは、よく言われている主語と述語を近くせよというルールよりも重要です。
例えば、
この例は主部(長いこと漁師として経験をつんできた私は)と述語(直感した)の間に「明日は雨だと」が挟まっているにも関わらず、明らかに読みやすくなっています。
大状況から小状況へ
修飾語の長さにあまり差が無い場合は、状況や重要さの大きいものから並べると読みやすくなります。ただし、最初の2つのルールに比べると、このルールの重要性はグッと低くなります。