表現するときには常に複数の選択肢があります。日本語の場合、同じappleに対して、「林檎」、「りんご」、「リンゴ」と様々な表現が可能です。ここでは、どのように言葉を選べば良いのかの指標を説明します。
漢字・ひらがな・カタカナはバランス良く
読みやすい文章には、漢字・ひらがな・カタカナが適切な割合で含まれています。
ひらがなが多いと、バカっぽいですし、単語の区切りがわかりにくくなってしまいます。ここまで極端な例は少ないですが、どうしてもひらがなでないと表現できない部分(まさにココ)があります。こういう時は、言い換えや語順の変更、ひらがなを漢字やカタカナに変えるなどで対応します。
→「どうしても「ひらがな」でないと表現できない部分」
→「ひらがなで表現しないといけない部分」
エセ外国人のような表現です。この文章から知性を感じません。文章に箔がつくと思い使っている場合がほとんどですが、審査員から見ればエセ外国人です。練られていない作文におけるカタカナ語の半分程度は言い換え可能です。英語の略号を連発するのも同様です(「POIをELISAで検出」など)。
また略号の場合は、知性以前に伝わらないという問題があります。いくら定義を最初に書いていたとしても、馴染みのない略号は覚えづらく、わからなくなるたびにイチイチ定義を見るのも大変です。略号にしても大して文字数が変わらない場合は略さずに表記する、GFPのように略号の方が一般的な表現の場合は略号メインで、長い言葉なので略号を用いる必要があるが一般的ではない場合は表現を工夫して登場回数を減らす、など臨機応変な対応が必要です。
この手の文章は医学系の方に多いですね。どうしても多くなりがちなのはわかるのですけど…
中国語でしょうか。やっぱり単語の区切りがわかりにくいですね。この場合も文章に箔がつくと思っている場合がほとんどですが、審査員からすれば読みにくいことこの上ないです。
文章を書きなれていない学生さんの学振申請書でよく見かけます。小難しいことを書けば価値が上がるわけではありません。
ひらがな:漢字:カタカナ=6:3:1
ひらがなが多いと幼稚な印象に、カタカナが多いと外国かぶれの中身が印象に、漢字が多いと堅苦しく、紙面が黒くなり圧迫感があります。
一般に、文章に占める漢字の割合が
20%以下:しまりがない文章
30%前後:最も読みやすい文章
40%以上:硬い感じの文章
とされています。ワードプロセッサを使うと簡単に漢字に変換してしまうので、漢字にする必要のない言葉まで漢字になっている例が多く見られます。そのため、申請書では漢字の比率は高めになってしまう傾向にありますので、ひらがなで良い所は漢字にしないという方向性になると思います。
以下はひらがなの方が良い例です。
- 「一つ」→「ひとつ」
- 「及び」→「および」(接続としてのおよび)
- 「実験等」→「実験など」
- 「私達は」→「私たちは」
- 「敢えて」→「あえて」
- 「予め」→「あらかじめ」
- 「何れ」→「いずれ」
- 「色々」→「いろいろ」
- 「且つ」→「かつ」
- 「例えば」→「たとえば」
- 「既に」→「すでに」
- 「等」→「など」
- 「~して来た」→「~してきた」
- 「~する毎」→「~するごと」
- 「更に」→「さらに」
- 「沢山」→「たくさん」
- 「但し」→「ただし」
- 「私達」→「私たち」
- 「並びに」→「ならびに」
- 「それ程」→「それほど」
- 「殆ど」→「ほとんど」
- 「勿論」→「もちろん」
- 「元々」→「もともと」
- 「幾つか」 → 「いくつか」
また、
- 「~する上で」→「~するうえで」
- 「様々な」→「さまざまな」
- 「かも知れない」→「かもしれない」
- 「~する度」→~「するたび」
- 「様に」→「ように」
- 「無かった」→「なかった」
- 「全て」→「すべて」
あたりは、状況によりどちらを使っても構いません。ただし、用法は申請書全体で統一する必要があります。