「審査員にアピールするために目立たせるべし」みたいなアドバイスが溢れていますが、やりすぎは読みにくくするだけです。特にフォントの過剰な装飾は、申請書を劇的に読みにくくします。

フォントの過剰な装飾は読みにくい

太字Italicアンダーライン文字背景文字色変更枠囲みなど様々な装飾方法があります。

そもそも本文を修飾する理由は何でしょうか?ほとんどの場合、本文強調の目的だと思います。しかし、

強調とは、他の大部分とは異なることをすることで、読み手の意識を強調したい箇所に向け、ついでに内容についても強調しようという行為です。

このように強調が効果的に機能するためには、本文の他の大部分が普通であることが条件になります。簡単に言えば、珍しいから価値があるということです。そのため、多すぎる本文強調は本当に大切なことをかえって見落とさせます。これでは本末転倒です。

さらに、フォントの修飾による強調が多くなるとかえって目立たなくなることから、そうした中でも目立たせるために、修飾を組み合わせてさらに目立つようにしたくなってきます。たとえば、太字による本文強調が多すぎると、本当に強調したい箇所に下線を引いて太字+下線の強調が登場しだす例を良く見ます。これも読みやすさという点で個人的にはマイナス評価です。強調したいのであれば重めのウェイトを持つゴシック体、もしくは、もっと単純にゴシック体の太字(本文は明朝体)にするだけでも良いです(私は最近もっぱらこちらです)。

下の例はヒラギノ明朝W2にヒラギノ角ゴW3を組み合わせた例ですが、明朝体の中に一つ重いウェイトのゴシック体があるだけでも十分に目立つことがわかるかと思います。

申請書中に太字を多用する人の理論は、

忙しい審査員太字部分を拾い読みをしても申請内容理解できるようにする

というものですが、私の経験上、見出しを拾い読みすることはあっても、本文中の太字を拾い読みすることはまずありません。実際、上の例のようにすごく読みにくいです。これは完全に間違った努力です。書いている本人も読みにくくてしょうがないと思うのですが…

どのような修飾をどの場面で使うのか

どのような時にフォントを修飾するのか、その基準はどうするのかを事前に決めておき、統一したルールのもとで運用することが重要です。

  • 見出しは太字ゴシック(必要なら網掛けあり)
  • 本文強調の目的で太字やアンダーラインを区別なく使うのは避ける。
  • フォントの装飾は1ページでせいぜい2つか3つくらいにする。あちこちを強調すると本当に重要なところがわからなくなる(過ぎたるは及ばざるがごとし)。
  • 太字による強調をするのであれば、重めのウェイトを使うほうがバランスが崩れなくて良い。
  • 本文でフォントの装飾を2つ以上組み合わせない。

などはルールの一例です。