基盤A・Bなど大型研究費の審査で真に求められるのは、単発の斬新なアイデアではなく「あなただからこそできる必然性」です。過去の業績から現在の課題、未来のビジョンへと至る連続した文脈を構築し、思いつきを必然に変える申請書の構成法を解説します。

多くの研究者が陥る「新規性」の罠
若手研究や基盤研究(C)からステップアップし、基盤研究(A)や(B)といった大型研究資金に挑戦する際、無意識のうちにプレッシャーを感じる研究者は少なくありません。その結果、これまでの自身の研究とは毛色の違う、誰も思いつかないような斬新で突飛なアイデアを提示しなければ競争を勝ち抜けない、と思い込んでしまうケースが散見されます。
新規性や独創性が学術研究において極めて重要な評価指標であることは間違いありません。しかし、審査をする側の視点に立ってみてください。数千万円単位の予算を託す大型種目において、文脈を持たない突如として現れた単発のアイデアは、魅力よりもリスクとして映りがちです。どれほど面白い着眼点であっても、その研究者のこれまでの実績との繋がりが薄ければ、「なぜ今、他でもないこの人がこれをやるのか」という説得力が欠如してしまうからです。
多忙を極める審査員は、限られた予算を託すに足る、信頼できる確固たる計画を探しています。彼らが求めているのは、思いつきの羅列ではなく、研究者が長年抱え続けてきた課題意識と、これまでの着実な歩みに裏打ちされた計画です。大型種目で採択を勝ち取るためには、自分の提案が突然変異的なアイデアではなく、研究人生における一つの到達点であるという文脈を構築する必要があります。
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