美しさの基本は揃えられるところを全て揃えることです。見た目に統一感が生まれると、そこに意識が向かないようになります。赤いリンゴの中に緑色のリンゴが一つだけ混じっていたら、気になりますよね。しかし、赤と緑の違いが申請者が伝えたいメッセージでは無かった場合、審査員は余計なところに気を取られてしまったことになります。審査員の注意力を低下させるこうした行為は、文章の内容への集中度の低下を意味し、申請内容を正しく評価してもらう可能性を低下させます。

揃えることで感動を呼ぶことはありませんが、忙しい審査員にとって、余計なところに気を回さなくても良い申請書は、審査員に高く評価されるでしょう。

行末を揃える

日本語で文章を書く時には、Wordの機能を使って両端を揃えます。これにより、文章の両端がビシっと揃いますので、整然としたイメージになります。この操作により文字間はほとんど変化しませんので、読みやすさにへの影響を気にする必要ありません。

左揃え
両端揃え

ちなみに、英語の文章でハイフネーションしない場合は、両端揃えをせず左揃えにします(例えば英語の文献リストなど)。長い単語が含まれる英文を無理やり両端揃えすると、単語間がバラバラになってしまい読みにくくなってしまいます。日本語文章の場合でも、単語が途中で切れてしまうと読みやすさが低下することがあり、そうした場合は、文字間を調整したり文章をみなおすことで、行末に単語がかからないように工夫します(参考:行頭・行末を調整する)。

段落の終わりをページ終わりに揃える

複数ページにわたる申請書を書く場合、どこまでを同じページに書くかを意識しましょう。絶対そうであるべき、とは言いませんが、段落や項目の終わりがページ終わりと一致するように(ぴったりになるように)すると美しいです。ページをまたぐということは、そこで一旦、視線が外れるということですので、多少なりとも読みづらさが発生します。

同様に、本文中で引用した図は同じページで登場させるように揃えると美しいです。図がページをまたいでいた場合、本文→図をみるために別のページへ→また元のページに戻って本文の続きを読む、という行ったり来たりの作業が発生し、これも読みづらさの原因となります。

日本語の使い方を揃える

日本語の場合、同じ単語を表すのに複数の表現方法があり得ます。どれを選択するのかは、個人の信条や漢字かな比・読みやすさなどを考慮して決めていくのですが、一度決めた使い方は申請書を通じて統一して使うべきです。

あるコンピュータが生成した小説を、別のコンピューターが判定できるか……

~を実施するうえでは〇〇〇の注意点が考えられる。また、条件によっては△△△などにも気を付けるべきであろう。

このような表現のゆらぎや、漢字にするかひらがなにするか、などは比較的きづきやすいでしょう。

他にも、以下のような例があります。

これまでの研究は〇〇〇の観点から〇〇〇解析をしてきたが、〇〇〇の解析により△△△に注目するのが本研究の特徴である。

これまでの研究との対比は本研究を特徴づけるうえで良い手段です。その際には何と何を対比しているのかがわかるように文構造を揃えることがポイントです。

これまでの研究は、〇〇〇の観点から〇〇〇を解析してきた。これに対して本研究は、△△△の観点から〇〇〇を解析する点特徴がある。

図を揃える

図の挿入位置と大きさでも書いたように、図の幅や配置方法を揃えることも統一感のある申請書のためには重要です。申請書においても、図と説明文(Legend)の幅はもちろんのこと、図中文字の大きさ、フォントの種類、図のテイスト、図の幅、挿入位置などを極力揃えることで統一感のある申請書になります。

雑誌やフライヤーなどデザインが重視される場合、あえて、図を散らしたりすることはありますが、申請書には必要ありません。シンプルにわかりやすくが基本です。見た目が美しくない申請書は、印象という点でマイナス評価は避けられません。