「同意を得る」「匿名化する」「二次利用する」を一続きに書くと、参加者が何を選び、研究者がどこまで使え、どの情報が誰に渡るのかが見えなくなります。倫理欄では、この三つを万能語として置かず、研究行為ごとに切り分けます。
「同意済み・匿名化済み」でも、利用範囲まで自動的に決まるわけではない
人を対象とする研究では、研究参加への同意、録音への同意、既存データとの連結、共同研究者との共有、将来の別研究での利用、論文での逐語引用など、複数の行為が一つの計画に含まれます。ところが申請書では、「十分な説明の上で同意を得る。データは匿名化して二次利用する」のように一文へ畳まれがちです。
この書き方の問題は、倫理的に厳しいか緩いかではありません。誰が、何について、どの範囲まで選んだのかを、研究計画から追跡できないことです。同意の有無だけでなく、利用目的、共有先、識別可能性、公開方法が変われば、確認すべき条件も変わります。
09-26では研究行為ごとの停止条件、09-27では活動とリスクの対応鎖、09-28では定型文の具体化を扱いました。本記事ではそのうち、人に関する情報の利用範囲に焦点を絞ります。読後には、同意・識別性低減・二次利用・共有・公開を別々に確認できる「利用範囲メモ」が残ります。
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