科研費原稿を財団向けに直す作業は、長い文章を短くすることではありません。学術的な問いと研究操作を残したまま、助成期間内に何を渡し、その成果がどこで使われるかを前へ移す編集です。
同じ研究でも、冒頭で示す価値は変わる
科研費の申請書では、先行研究の到達点、残る問い、独自性、方法の妥当性を積み上げ、学術的に何を明らかにするかを中心へ置きます。民間財団の申請でも研究としての筋は必要ですが、限られた欄の早い段階で、財団が支えたい対象に対して研究期間内に何が生まれ、誰が次の行動へ移れるのかを示す場面があります。科研費用の段落をそのまま縮めると、問いは残っても、支援する価値が後ろへ隠れます。
逆に、社会的な意義だけを足すと、研究の核が薄くなります。「地域文化の継承に貢献する」「社会課題の解決を目指す」と大きく書いても、何を比較し、どの資料から、何を判断する研究かが消えれば、助成によって生まれる成果も評価できません。必要なのは、学術性を削る操作ではなく、同じ研究要素の順序と説明密度を変える操作です。
この記事では、応募先の適合性を診断したり、公開された制度目的を分解したりはしません。応募先と重視点を決めた後に、既存の科研費原稿をどの文から直すかに限定します。読後には、修正前段落、残す核、前へ出す価値、修正後段落、変更理由を一組にした注釈付きの原稿が残ります。
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