過年度原稿の種目名と予算だけを替えても、申請書の主語は変わりません。「本研究では」と書かれた無人称の計画を、基盤研究なら代表者が統合する計画へ、若手研究なら申請者本人が問いと判断を所有する計画へ直すには、中心責任を一つ選び、概要・方法・体制・到達点の四箇所へ通します。
種目名の置換では、審査員が読む責任構造は変わらない
基盤研究A・B・Cは、一人又は複数の研究者で組織する独創的・先駆的な研究計画であり、令和9(2027)年度公募では応募総額と審査区分・審査方式が区分ごとに定められています。若手研究は、博士の学位取得後8年未満等の要件を満たす研究者が一人で行う、将来の発展が期待できる優れた着想を持つ研究です。
公式条件を満たすことは入口ですが、原稿内の「誰が何を決めるか」は種目名を書き替えただけでは変わりません。
過年度原稿の流用で起こりやすいのは、研究目的と方法が「本研究」を主語にしたまま、研究組織だけを増減することです。基盤研究へ変更したのに、研究代表者は各担当から結果を受け取るだけです。若手研究へ変更したのに、中心仮説、試料、解析、解釈のすべてが研究室プロジェクトの既定路線です。どちらも、制度名より先に責任構造が旧稿のまま残っています。
本記事は、どの種目を選ぶべきかを比較しません。応募先を決めた後の原稿に対し、一つの編集操作で中心責任を通す手順を示します。その操作は、すべての「本研究では」を削ることではなく、重要な判断文の主語を「研究代表者」または「申請者」へ戻し、判断動詞を置くことです。
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