学振DCで論文が少ないとき、埋めるべきなのは業績欄ではありません。研究ノート、史料目録、分析メモ、指導記録から、申請者本人が既に行った「選択・除外・比較・修正」を拾い、その判断が確認できる痕跡と結びます。未完成の研究でも、本人が担った研究判断は能力証拠に変えられます。
論文が少ないことと、研究判断をしていないことは同じではない
博士課程の途中では、査読論文がまだ出ていないことがあります。史料の所在確認に時間がかかる研究、長期観察を必要とする研究、共同調査の成果をまとめている途中の研究では、作業が進んでいても公開業績になっていない期間が生じます。このとき、学会発表や受賞歴を無理に増やして見せても、申請者が研究者として何を判断できるのかは伝わりません。
令和9(2027)年度採用分の特別研究員DC申請書作成要領では、申請内容ファイルに研究計画と「研究遂行力の自己分析」等が含まれます。様式見本では、自身の強みと今後の発展に必要な要素を、これまでの研究活動の経験に基づいて具体的に書き、根拠となる成果物を適宜示すことが求められています。論文は重要な成果物ですが、強みの文章を論文一覧へ置き換える指示ではありません。
そこで、完成した成果の数を数える前に、研究過程で本人が担った判断を探します。判断とは「頑張った」「多く読んだ」ではなく、複数の選択肢から一つを選び、採用しなかった選択肢を説明でき、選択後の研究の進み方が変わった行為です。
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